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著作権侵害をしないで写真・イラストを使用するために知っておくべきこと

北小松・樹下神社(滋賀県大津市)

ちょっと気にしてインターネット上を見回すと、写真やイラストの無断転載(パクリ)はいくらでも見つかります。著作権侵害をする側は大事(おおごと)とは思っていないのでしょう。私自身も何度も画像をパクられました。

しかし、著作権侵害をしたのが今は無事でも、バレていないか、バレていても著作権者が面倒に思って放置しているだけかもしれません。相手次第では巨額の損害賠償を請求される可能性があります。侵害した写真やイラストを使っている場所がホームページならば、閉鎖に追い込まれるかも知れません。

そういった危険な状態にならないための注意点をピックアップします。

著作権は写真を撮ったりイラストを描いたりするだけで成立する

まずは、一見無防備にネット上に置かれているかに見える写真やイラストが著作権で守られているのをしっかりと肝に銘じましょう。

日本でも採用されている著作権の「無方式主義」

日本を含むほとんどの国では、著作権について「無方式主義」を採用しています。

無方式主義の下での著作権は、著作物を作った時点で自動的に発生します。役所など、どこかに届け出る必要もありません。

ウオーターマークが入っている・入っていないにかかわらず、著作権は保証されている

このホームページ用に使っているウオーターマーク。

画面の隅などに薄めに入っている文字や印を「ウオーターマーク」と呼びます。ただ、実際には「薄め」ではなくても、ウオーターマークと呼ばれています。大半は著作権を主張するためのものです。私がこのホームページに使っている写真の多くにも「©ペンタ工房」のウオーターマークを入れています。

無方式主義の下では、ウオーターマークがあってもなくても、著作物には著作権が働いているのは同じです。入っているとしても「念のため」程度のものです。

入っていなくても著作権が放棄されているわけではありません。その写真やイラストを使うには、著作権者の許可を得るなどの手続きが必要なのは、何ら変わりはありません。

コイツラを信じたり、まねをしたりすると、自分も著作権侵害者になる

「よほど頭が悪いんじゃないか」も含めて、実際にインターネット上にで見かけたインチキな転載方法を列挙してみます。

「ウオーターマークがなければ転載OK」ではない

「拾い物」などと称しての無断転載は後を絶ちません。特にウオーターマークがない場合に、何の罪悪感もなく手を出す人がいるようです。

「拾い物」であるからには、だれが撮影・作成して、その使用にはどのような条件がついているかも知らないままでしょう。たまたま、「だれでも無条件でお使いいただけます」の可能性もないではありません。

一方で、アマナイメージズの「ライツマネージド・Premium」の画像のように、「半年〜1年の使用料金が79,200円。1年から3年ならば123,200円。これらはあくまで正規の料金で、無断で使ったらその倍額」もあります。

バレたら料金を請求してくるでしょう。実際、アマナイメージズはすんなり支払わなかった相手には裁判も起こしています。

早い話が、道端に落ちているものを拾って食べはいけないのと同様に、「拾い物」など手を出してはいけません。「それがどういったものか」の情報もないのですから。

ネット上には「著作権を示すマークがなければその画像は勝手に使っていいのですか?」といったQ&Aも散見されます。もちろん「いいえ」であるのは、この記事の冒頭で説明したとおりです。

「ウーターマークを消せばOK」ではない

これもすでに結論はでています。ウオーターマークを消しても、著作権が有効なのには、何ら変わりはありません。

それどころか、今度は著作者人格権にも抵触します。著作者人格権は著作権とともに著作権法に定められていて、著作物の制作者の人格的な利益を守るためにあります。著作物に変更を加えるのを禁止する「同一性保持権」はこの著作者人格権の一部です。

つまり、「ウオーターマークを消すなど、撮影者・作成者に断りもなく画像に手を入れるのは、『相手の人格を損ねる行為』として禁止されている」とご理解ください。

「著作権者の名前を画像と一緒に書いておけばOK」ではない

これはたまに見かける勘違いです。実際に、私がTwitterに投稿したイラストでありました。

FaceBookで無断転載されました。まったく知らない相手です。それに対し、これもまったく知らない人が「このままでは著作権侵害になる。描いた人の名前を一緒に出しておかないといけない」と忠告していました。

間違いです。それで著作権侵害にならないのは、著作権者(つまり、私)が「私の名前さえ書き添えていただければ、お使いいただいても結構です」という条件を出していた場合だけです。

そんな条件は出していません。アドバイスをした人のただの勘違いです。「おそらくは」としかいえませんが、どこかでそういった条件がつけられている画像を見た経験があり、自分勝手に著作権侵害を回避する方法と思い込んだのではないでしょうか。

この人に限らず、著作権法の内容を確かめもせずに、自分が希望するように勝手に改変する人は珍しくありません。先の「ウオーターマークを消せばOK」もその一例です。

「画像をアップしている人から許可をもらえばOK」ではない

これもSNSでは日常的に見かけます。

まず、パクリ(無断転載)で画像がアップされます。それに対して、「すてきなイラストですね。ぜひ、私のホームページで使わせてください」と頼むやつがでてきます。返事が「けっこうですよ。どうぞ自由に使ってください」といった具合です。

なかには、パクリ満載の自身のホームページに、「ここにある写真やイラストは、(許可を)問い合わせていただかなくてもけっこうです。どうぞご自由にお使いください」とアピールしている例まであります。

この両方の形で、私の画像も何度もパクられました。

パクリ画像の“供給元”になる人の意識の低さは間違いなくひどいものです。一方で、受け取る人にもかなりの問題があると見ています。というのは、供給元の人の過去の投稿を見れば、その人にまともな写真を撮ったり、イラストを描いたりする能力などないのは、簡単にわかりそうなものでしたから。

「使わせてください」の問い合わせも、著作権順守の気持ちなどなく、単に「(だれでもいいから)許可をもらった」の安心感が欲しいだけなのだろうと思います。仮に、本気で「それでOK」と思っていたのならば、あまりに世間知らずです。

画像での「引用」は事実上ないと思ったほうがいい

著作権でなにが、どう定められているかを実際にはチェックせず、自分に都合よく決めてしまう人がやらかす違反がもうひとつあります。「引用」と強弁しての無断転載です。

これも、私が実際に被害に遭いました。パクってTwitterに投稿したイラストを削除するように申し出たところ、「これは“引用”である。著作権上認められている」といった返答でした。相手はいわゆる「陰謀論」の人で、当初から頭はまともではありません。

確かに、「引用」は著作権法32条で認められています。2項ありますが、ここで問題になるのは第1項で、その条文は次のとおりです。

公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない。

「公正な慣行に合致する」や「引用の目的上正当な範囲内」などには解釈の幅があって、簡単に決められません。また、この条文内にはありませんが、「出典元が明記されている」や「改変しない」も必須(ひっす)の条件です。

無断で転載しておいて、これらの条件を満たしている画像を私は見たことがありません。たいていは、無断転載したことへの見苦しい、子供のような言い訳として「引用」を主張しているだけです。

これだけ条件が厳しい上、解釈も難しいのが引用です。あなたがこの分野の法律の専門家でもない限り、「事実上、引用は無理」と考えてください。

他人が権利を持つ写真やイラストを使えるのは、著作権者の許可か著作権の譲渡のみ

引用が事実上無理とすると、あとの心配なく、ほかの人が撮った写真や描いたイラストを使うには……

・著作権者が定める条件を守って使う
・著作権を譲り受ける

……の2つしかありません。

そのためには当然、「だれが撮ったか・描いたか」を突き止める必要があります。あるいは、著作権所有者です。著作権はほかの物品のように譲渡ができるので、必ずしも写真の撮影者・イラストの作成者が著作権所有者とは限らないのです。

「ずいぶん面倒だな」と思った人もいるかも知れません。しかし、写真もイラストも、その撮影者・作成者が手間ひまかけて形にしています。あまたいるパクリ屋のように、「わずかクリック数回」、しかも、「相手に無断」で自分のものにできると考えるほうが異常でしょう。

なによりも、「著作者人格権」の言葉からもわかるように、写真やイラストは撮影者・作成者の人格の一部です。それを尊重しないようならば、ホームページ制作、取材、写真撮影のどの依頼であっても、私の方からお断りします。

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