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オウンドメディア運営に失敗するといくらむだになる? 2億円以上の例もあった!?

オウンドメディアの費用の説明(黒板)

いまさらいうまでもありませんが、どう見ても失敗しているオウンドメディアはいくらでもあります。そこそこの記事数で更新が止まって打ち捨てられているのならば、まだいいかもしれません。「もう、手間もお金も掛けていない」わけですから。

一方で、ゾンビのように1年2年と記事が投入し続けられている例もあります。それもいつかは、止まるのですが。

「オウンドメディアの運営に失敗すると、どのくらいのお金をむだにするか」を考えてみましょう。

検索順位が“Googleペナルティ”級でもまったく気にしない社員編集部員たち

オウンドメディアのために専門の部署を立ち上げ、十分な資金を注ぎ込んでも失敗する場合があります。力を入れれば入れるほど、むだにする金額も大きくなるのです。その会社がむだにした金額は、おそらくは億の単位でした。

4年間毎日取材記事をアップして、生み出した価値は0円?

すでに一度このブログでも紹介したオウンドメディア(自社で運営するホームページ)の話です。どのような会社・どのようなオウンドメディアかを簡単に繰り返しておきます。

本社は地方都市にあり、経営トップはマスコミからもカリスマ経営者として注目されていました。そのオウンドメディアを始める際には、名目だけとはいえその経営トップが「編集長」となり、社員3、4名に外部スタッフも加えて、編集部まで作っていました。約4年間運営し、取材記事を毎日アップです。

私は数本、このオウンドメディアのために記事を書きました。ところが、そこそこ有名な会社が運営するオウンドメディアであるにもかかわらず、読者の反応がありません。編集部員も気にしていません。

変だと思って、私の方で思いつく限りのキーワードで検索してみたのですが、すべて圏外(100位にも入っていない状況)でした。「Googleペナルティが課せられているのかも」と疑わざるをえないレベルです。「Googleペナルティ」とはGoogleが定めた規約に対する違反があったときに課せられる罰で、検索順位を大幅に下げられます。

検索に引っかかってこないオウンドメディアなど、ネット上に存在していないのと同じです。「生み出した価値は0円であった」とみなしても、そう大きな間違いではないでしょう。

4年間、専任の編集部員の給料を支払い続けた

運営にかかった費用のうち、まずは人件費を計算してみます。一般的に社員の人件費は給与額の2倍で計算する場合が多いようです。社会保障費などもかかるのです。社員編集部員を3人とし、それぞれ500万円の年収(額面)があったとします。

3(人)×500万×2×4(年)で、1億2,000万円です。

次に記事の費用です。記事はほぼすべて取材もので、編集部員が文字通りに全国を飛び回り、しかも、ライターやカメラマンも雇っていました。どうせ正確にはだせないので、ざっくりと想定します。記事1本に付き編集部員の交通費は1万円、宿泊費も1万円としておきます。ライターとカメラマンの報酬もアバウトに各1.5万円としましょう。となると、取材記事1本で5万円かかります。

これをほぼ365日、4年間続けました。5万×365(日)×4(年)で、7,300万円です。

さらに、社員編集部員以外にもオウンドメディアにかかわった人は社内・社外にいます。また、ホームページ制作業者に支払ったお金もあるでしょう。

ここまでの想定によほどひどい勘違いや見落としでもない限り、「どう見ても2億円は下らない」と結論するしかありません。

ある日、気がついたらこのオウンドメディアは消えていました。その会社は東京にも拠点を持っていて、編集部もそこに置いていました。この拠点を廃止するのと同時に、このオウンドメディアもやめたようです。経営トップの肝いりだった編集部もなくなりました。

中小企業のオウンドメディアであっても、失敗したら2,000万円をドブに捨てる

「社員をあてて編集部を作り、取材記事を毎日アップ」をまねできる会社やお店はまずはないでしょう。次はパターンを中小企業でありがちなものに変え、「まったくの失敗をしたら、いくらをむだにするか」を計算してみます。

3年やったとして、人件費は1,500万円

実は、このシミュレーションも、東証一部上場の製造会社が運営するオウンドメディアでの私の体験が背景にあります。中小企業でもありがちな規模のオウンドメディアでした。詳細は避けますが、やはりまったく利益を生み出していません。ですから、「中小企業のオウンドメディアの失敗例シミュレーション」とご理解ください。

まず、担当者の人件費です。「オウンドメディア担当者は1人だけで、しかもほかの業務と兼任」とします。そうなると、人件費は先ほどの半分の年間500万円程度をみておけばいいでしょう。

オウンドメディアの成果が出るまでに、ちゃんとやっていても1年やそこらはかかります。「石の上にも3年」で3年間やったとしたら、オウンドメディアのための分の人件費は1,500万円です。

記事は150本になり、代金は300万円

記事は1週間に1本、調べもの記事をアップしたとします。「調べもの記事」は別名「こたつ記事」ともいい、「家にいて、ネットででも調べれば書ける程度の記事」を意味します。いくらでも安い金額で引き受けるライターはいますが、ある程度の質も必要と考えて、1本1万円とします。

こたつ記事の場合、写真はたいていはストックサービスのものを利用します。専門の会社が撮り置いてある写真の中から選ぶのです。いわゆる「イメージ写真」にしかなりませんが、安価、あるいは無料で手に入ります。

こういった場合、原稿代行の中間業者が入るのが一般的です。そこへの支払いもあるので、ライターと原稿代行業者の費用、写真代を合わせて、1本2万円で考えてみましょう。50(週)×3(年)で記事数は150本となり、金額としては300万円です。

制作費まで含めるとざっと2,000万円

これに、ホームページ制作費がかかります。また、運用やメンテナンスを業者に任せるのも珍しくありません。前者は安くても50万円、後者は月々1〜2万円といったところでしょうか。制作費+3年分の運用費で、100万円から200万円です。

人件費は1,500万円、記事代は300万円だったので、3つを合計するとざっくりと2,000万円です。

外部の人間が働きかけても失敗ホームページは改善されない

特に前者の「編集部まで作り、毎日取材記事をアップしても、訪問者はほとんどない」など極端な例と思われたかもしれません。しかし、有名企業や大企業でも、そこそこあるようです。私自身の経験でも、ほかには日本最大級の宗教組織でも同様の例がありました。

報酬が支払われるとはいえ、私自身が納めた文章や写真もドブに捨てるのようなものです。モチベーションを保ちようはありません。「ダメな中間業者が入っている場合はその業者を飛ばして会社側の担当者に、会社側の担当者がルーズな仕事ぶりならばその上司に掛け合えないものか」と煩悶(はんもん)したときもあります。「編集部まで作り……」の会社に対しては、実際にそうもしました。

しかし、悟りました。「ダメな中間業者を選んで放置しているのは、会社側の担当者である。ダメな担当者を選んでいるのは、その上司である。結局、彼らもオウンドメディアに対する熱意や理解はない」

こちらのメンタルがやられる前に近寄らないようにするしかありません。

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