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デジカメが高感度をカバーしても外付けストロボが必要なわけ・その3〜使い方

逆光と順光

内蔵せよ外付けにせよ、「ストロボの出番は撮るものが暗いとき」と思っている人は少なくないでしょう。間違いではありませんが、「暗いとき」はいくつかある出番のひとつでしかありません。

外付けストロボを持っていないと、本当だったら撮れたはずのレベルの写真が撮れていない可能性があります。

TPO別、こういった場合に外付けストロボが必要になる

以下は、あくまで初心者向けの話です。ほかにも対応の仕方はありますが、できるだけ外付けストロボひとつで済む方法を挙げてみます。

室内での人物撮影で、顔に影が出る・メリハリがない

理由はふたつほど考えられます。「室内照明の位置が悪い」「室内照明の光がもともと写真には適してない」です。

この一連の記事のなかでも書きましたが、照明の位置については「上方45度、左右どちらかに45度」が最も素直に写ります。ただ、室内でこれをやるには、ワイヤレス発光(無線を使い、カメラとは離れたところからストロボを使う)をする必要があります。

天井バウンスをしましょう。ワイヤレス発光ほどには自由に光源の位置は選べません。しかし、室内の照明で撮るよりはおそらくはましです。

屋外での人物撮影で、顔に影が出る・メリハリがない

まず考えてみるべきなのは、「撮影する位置や方向を変える」です。しかし、背景に入れたいものがあるなど、どうしてもそのアングルが譲れない場合もあるでしょう。

この場合は真っすぐにストロボを当てます。ただ、「どのくらいストロボの効果が出るか」「ほかの光との兼ね合いがどうなるか」はなかなかわかりません。初心者にはハードルが高いかも知れませんが、発光量をマニュアルにして段階的に発光量を変えて撮影しましょう。

スイーツや料理を撮ったら、発色が悪い

X(旧・Twitter)やFaceBookなどのSNSで頻繁に見かけるのが、くすんだような色のスイーツや料理です。本当は小型の撮影用LEDがあればかなり解決します。

ストロボをそのまま使うと、内蔵であれ外付けであれ、光が強すぎるために不自然な影が出、被写体も白飛びしがちです。もし可能であれば、天井バウンスしましょう。

ただ、お店などでやると周辺をまるごと光らせてしまい、「ほかのお客に迷惑になる」と気兼ねするかもしれません。

もし、手元にコピー用紙やノート、白い下敷きなどがあればOKです。スイーツや料理の上にかざし、これを天井代わりにしてコンパクトにバウンスします。「被写体に当たる光量が落とせる」「影の出方が自然になる」「室内照明の色の偏りを直せる」など問題が一気に解決します。

白い下敷きで天井バウンス
「天井バウンス」というが、光を当てる先は天井とは限らない。被写体がスイーツや料理、卓上サイズの置物ぐらいであれば、コピー用紙や白い下敷きでも間に合う。

室内で子供やペットを撮ったら、ブレまくった

動きの激しさにもよりますが、子供やペットが飛びはねているのを撮るには、シャッタースピードは250分の1秒は確保したいところです。となると、今の高感度に強いデジカメでも、必ずしも対応しきれるとは限りません。

また、先のテーブルフォトと同じような問題もあります。デジカメは室内照明用のLEDの光は苦手なために、くすんだような色に写りがちです。

これも天井バウンスしましょう。ただし、今度はできれば「シャッタースピードはストロボが同調する限界まで上げる(通常は200分の1秒程度)」「露出は絞り目にし、感度も低めにする」など設定をいじった方がいい結果がでます。いずれも「室内照明など周囲の光はできるだけシャットアウトして、ストロボ光だけで写す」ための工夫です。

ストロボの発光時間は数千分の1秒かそれ以上です。周囲の光を排除してストロボ光だけで撮れれば、「シャッタースピードを数千分の1秒かそれ以上」にしたのと同じ写り方をします。手ブレや被写体ブレも防げます。

地球儀
どちらもシャッタースピードは4分の1秒。左は定常光(点いたままの光)である撮影用LEDライトを真っすぐに当て、右はストロボを天井バウンスで使った。右のほうがより勢いよく回したが、ストロボの発光は一瞬のために、動きが止まって写っている。

雰囲気のある夜景を撮ろうとしたのに、単に暗いだけになった

「きれいな夜景を目の前にして、シャターボタンを押した。だけど、光ばポツンポツンとあるだけで、ほかは真っ暗な写真になった」といった経験はないでしょうか。

こういった場合で多いのは、「光のないところは目を凝らして見ているので、肉眼では見えた。しかし、写るほどの明るさはない」です。

主役の被写体に光が届くようならばストロボを使いましょう。ただし、写すものにもよりますが、オートのままではダメです。補正をかけて、マイナス1〜2段程度発光量を落とします。これは外付けストロボならば背面の液晶部分などで設定できるはずです。

参考までにいえば、光が届かないようならば、当然、ストロボの出番ではありません。この場合は、夕暮れ時のまだ光が残っている時間帯を狙います。

ストロボばかりに頼ってはいけない場合もある

パーティーやイベント会場でも、暗ければ、天井バウンスしましょう。ただ、会場が広すぎて、天井も高くて、十分な量の光が反射してこない場合も少なくありません。

となると、ストロボを真っすぐにに向けるしかありません。この際に覚えておかないといけないのは、「ストロボの光源はほとんど『点』程度の面積しかない。単位面積あたりの光の量は距離の2乗で減っていく」です。

ストロボの光だけに頼ると、「手前は真っ白に飛び、ちょっと奥になると真っ黒」といった写り方になります。

先に挙げた「天井バウンスで室内の子供やペットを撮る」と逆です。手ブレ・被写体ぶれしない限界までシャッタースピードを落とし、感度も画面が荒れないところまで上げます。その上でストロボを発光します。

それでも、ストロボをまっすぐ向けているからには、「手前は白い、奥は黒い」は残るでしょう。あとはPhotoshopなどを使ってのレタッチの出番です。

天井バウンスをするときの注意

ここまでの話で、すでにお気づきかもしれません。「ストロボはまっすぐ当てない。可能な限りは天井バウンスで使う」が基本です。「天井」との名前がついていますが、側面の壁を利用する場合もあります。先に見たようにコピー用紙でもOKです。

発光部を向ける天井の位置は、「被写体とカメラの真ん中」が基本です。しかし、「影をつけたい」などの理由でほかの角度を選ぶ場合もありえます。

当然、天井までの距離には注意が必要です。「遠すぎる」「ストロボのパワーが弱い」などで十分な効果が得られない場合があります。

反射させる場所の色は白やグレーなどが理想的です。ほかの色では、被写体にその色が反映する可能性があります。これを「色かぶり」といいます。ある程度は、あとのレッタッチで直せますが、あまりに影響が強そうならば、天井バウンスはあきらめたほうがいいかもしれません。

天井バウンスによる色かぶり
左では白い下敷き、右は緑色の板(カッティングマット)にバウンスさせた。バウンスさせるものの色は白や灰色が望ましい。

ストロボは補助光として使う場合もある

ストロボは適正露出を出すだけが役割ではありません。

少しハードルが高いかも知れませんが、「ストロボがなくても適正な露出が出るシャッタースピード・絞り・感度の組み合わせのところに、弱めにストロボの光を入れる」といった使い方も試してみましょう。こういった使い方を「補助光」と呼びます。

補助光の目的はふたつあります。

ひとつ目は「ストロボの質のいい光をプラスする」です。フィルム時代から同じですが、カメラの最も得意な光は太陽光です。一方、室内照明などに使われる一般的なLEDの光などは苦手です。

ストロボの光は太陽光に近い性質を持っています。全体の中では一部しかならなくても、ストロボの光が加わることで発色が改善されます。あとでPhotoshopなどで色調補正をするにも自然に仕上がるはずです。

もうひとつは「影を拾う」です。

花をアップで撮るときが典型ですが、凹凸が大きすぎて、奥まったところは真っ黒になる場合が少なくありません。これに対し、立体感がなくならない程度に真正面からストロボの光を入れるのです。

これらはカメラのオート任せではなかなかうまくはいかず、自分で発光量を設定をする必要があります。

ストロボのコツは「使ったとはわからないように使う」

まずは外付けストロボを使うのに慣れましょう。買う前・使う前は要らないと思っていても、意外に出番が多いのに気がつくはずです。写真はそこにあるままの光で撮れるとは限りません。

また、ストロボを使って成功した写真を見ると、以前自分が撮っていた写真との違いにも気がつくでしょう。

そして、その後に目指すのは、「ストロボを使ったとは気が付かれないように使う」です。ここまで書いてきたのも、実は多くは「気が付かれない」ための話でした。「天井バウンス」はその典型です。

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