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色の濁ったまずそうな料理写真を避ける〜スマホにはLEDライトを使おう

どちらも同じ小型の撮影用LEDライトを用いた。光量の調整ができ、左は弱め、右は強めにしてある。

料理写真(テーブルフォト)はSNSでは超定番のネタです。料理関係のアカントをフォローしていなくても、常に流れてきます。しかし、特にスマホで撮った写真に発色のよくないものが珍しくありません。

「スマホでの料理写真撮影の場合に、ちゃんと発色しない理由」と「同じく、ちゃんと発色させる撮影方法」をご紹介しましょう。

おいしそうだったスイーツなどがSNSではさえない場合がありませんか?

目の前にあるパフェやアイスクリームなどがあまりにカラフルだったり、おいしそうだったりする。さっとスマホで撮ってX(旧・Twitter)やInstagram、FaceBookといったSNSにアップする……

今や日常的に見られる光景です。しかし、アップされた写真を見ると、なんとなくさえない気がしないでしょうか? 大半の人はアップしてしまえば、そこで満足して、もうろくに眺めたりしないかもしれません。しかし、そういったときは、写真の色が濁ったようになっている場合が少なくありません。

ひとことでいえば、「発色が悪い」のです。なかには、「写真撮影のセミナーに参加して、撮り方を教えてもらった」人がレッスンでの作例としてあげているものでさえ、色が濁ってまずそうなパフェの写真がありました。

スマホで撮った料理写真が濁るわけ

スマホに限りませんが、料理写真が濁るのは、「カフェなどの照明が写真撮影に適していない」「人の記憶に残った光景に近づけるための撮影上の工夫をしていない。その工夫がやりにくい」が2大理由です。スマホのイメージセンサーは性能が低いために、よけいに濁ってしまう可能性があります。

カフェなどの照明は写真撮影に向いていない

色温度の低いLED電球
「心が落ち着く雰囲気が出せる」「食べ物がおいしく見える」として、飲食店では電球色のLEDがよく使われている。しかし、実はカメラのイメージセンサーには苦手な波長の光を放つ。発色がよくないのだ。

レストラン、喫茶店、カフェなどのお店では、多くの場合、あたたかみのある光を放つ照明器具が使われています。典型的なのは電球色のLEDでしょう。「心が落ち着く色」であると同時に、「食べ物がおいしく見える色」なのだそうです。

この「あたたかみのある光」は写真撮影の世界では「色温度が低い」と表現されます。

しかし、かつてのフィルムも、今のデジカメのイメージセンサーも苦手な光です。フィルム時代には「タングステン用(白熱電球用)」などとして、一般用以外にこの色温度が低い光専用のフィルムが別にあったぐらいです。

デジカメとなった今は、「ホワイトバランスの調整」の機能が搭載されました。「色温度の調整」と言い換えてもいいでしょう。この色温度が低い光にも対応していると考えたいところです。

しかし、デジカメも基本的には「色温度が高い」光に合わせて開発されています。違う言い方をすれば、太陽光の下で最も性能を発揮するようになっています。色温度が低い光には、まだ、十分には対応しきれていないのです。

カメラが正しい色を記録しても、人間の記憶とはズレが出る

実は、もう一方の理由のほうが大きいかもしれません。「人は目にした通りの色やコントラストを覚えていない。記憶をすり替える」のです。

「色温度が低い光」は「オレンジ色の光」と言い換えても大きな間違いにはならないでしょう。オレンジ色の光に照らされた、ショートケーキなどのスイーツもオレンジ色になっているはずです。

しかし、だれでも「ミルクをホイップして作られたクリームは白い」「ケーキが載っていたお皿も白い」と経験的に知っています。「固定観念」と言い換えてもいいでしょう。実際にはオレンジ色であろうがお構いなしです。試しにその場で、横にいる人にクリームを指差し、「これは何色?」と尋ねれば、ほぼ間違いなく「白色」と答えるのではないでしょうか。

写真になったのを見ても、固定観念で判断するのは同じです。オレンジ色のクリームやお皿には違和感を持ち、「なんだか変な色で、ケーキもおいしそうではない」と見てしまうのです。

スマホでは写真は補正しにくいし、外付けストロボも使えない

違和感を持たれない写真にする方法は主にふたつでしょう。「撮影済みのデータをPhotoshopなどで補正し、人の記憶にある色などに近づける」と「太陽光線に近い性質の光の下で撮影する。あるいは、部分的にでも同様の光を足す」です。

スマホの写真は補正してもいい結果にはなりにくい

ただし、スマホで撮った写真は、補正には向いていません。どれだけ工夫しても徒労に終わる場合が少なくないのです。

というのは、スマホの一般的なイメージセンサーは小さいために、性能にも限度があります。取得した光のデータを強力に補正して、なんとか見られるものにしています。これを、Photoshopなどでもう一回補正すると大崩れしがちです。「すでにとことん調理した食品を、もう一度調理する」をイメージすればいいでしょう。

スマホにはストロボが内蔵されているが非力、工夫もできない

ストロボの放つ光の性質は太陽光とほぼ同じです。しかし、スマホではよほど特殊な細工でもしない限り、外付けストロボは使えません。

カメラに付属してストロボも内蔵されてはいます。しかし、発光量は微々たるものです。しかも、天井バウンス(発光部を上に向けて、天井からの反射光を使う)などの工夫もできません。「使えるとしても、ごく限定的なスチュエーション」といったところです。

残る方法は、「撮影用LEDライト」を使うです。もとはビデオ(動画)用と考えられてきたLEDライトは、写真(スチール写真)にも使いやすい製品がでてきました。

あればこれだけ違う、補助光のパータン別の写り方

以下、これまでにお話しした撮影パターンと一緒に、LEDライトを使った場合の写り方の特徴を紹介します。

撮影に使ったスマホは低スペックの機種

今回使ったスマホは「moto e5」でした。2018年発売で、内蔵カメラのイメージセンサーは1,300画素、1/3.1インチです。「今使っている人がいたとしたら、最も性能の低い内蔵カメラ」といっていいでしょう。「スマホの機能がカバーしないので、低スペックの内蔵カメラのほうが光の条件による違いがストレートに出る」と考えました。

画角は「2×」としました。料理写真では標準レンズか中望遠レンズを使うのが定番です。標準レンズの画角は「肉眼で見たときの視野とほぼ同じ」、中望遠レンズは「見つめたときの視野とほぼ同じ」とされます。スマホの機種にもよりますが、「2×」ならばほぼ標準レンズぐらいの画角になっているはずです。

ただ、「2×」といっても、いわゆるデジタルZoom(イメージセンサーの中央部だけを使うことで疑似的に望遠側にする)の話です。「1×」で使うときに比べ、画質はさらに低くなっています。

また、天井からの光は電球色LEDで、色温度は実測で3,000Kでした。見た目にもかなりオレンジがかっています。

撮影用LEDならば小型でもパワーは十分

以下、5つのパターンで撮影してみました。順に……

・補助光はなし。天井からの電球色LEDの照明のみ

・スマホ内蔵のカメラに付属しているストロボを発光

・スマホをもう1台用意し、これが持っている“懐中電灯機能”を利用(ミニミニサイズのLEDライトで斜め横から光を入れる)

・小型の撮影用LEDライトを使用し、斜め横から弱めの光を入れる

・同じく、斜め横から強めの光を入れる

……です。

左から順に、「補助光はなして、天井からの電球色LEDのみ」「スマホ内臓のストロボを発光」「ほかのスマホの懐中電灯機能(ミニLEDライト)を使用)
左から順に、「補助光はなし」「スマホ内蔵のストロボを発光」「ほかのスマホの懐中電灯機能を使い、微弱なLED光をわきから照射」
どちらも同じ小型の撮影用LEDライトを用いた。光量の調整ができ、左は弱め、右は強めにしてある。
どちらも同じ小型の撮影用LEDライトを用いた。光量の調整ができ、左は弱め、右は強めにしてある。

「補助光はなし」でも思ったほどにはオレンジ色がかっていません。ある程度はホワイトバランスの自動調整が効いているのだろうと思います。どれも画質がよくないのは、もともと内蔵カメラのスペックが低い上に、デジタルZoomを使ったせいでしょう。

結局、ベストは「LEDライトを弱めに使ったもの」、次点が「ほかのスマホの懐中電灯機能を使ったもの」でした。内蔵ストロボについては、発色はいくらかよくなった気がするものの、立体感がなくなり、最も不自然な写真になりました。

スマホでの撮影にLEDを使うときの注意

撮影用LEDライト
今回使った撮影用LEDライト。コンパクトで、電源も単三電池2本だけだ。買ったときの値段は1,000円ほどだったが、十分に実用に耐える。

LEDライトを使う際は、手ブレの危険性と隣り合わせでした。右手一本でスマホを持ち、しかも、その右手の指でシャッターを作動させなければいけません。ブラしてしまうのも無理のないところでしょう。

今回の検証から考えられる、おすすめの「スマホの性能の限界のなかで、少しでも発色を改善させて料理写真を撮る方法」は次のとおりです。

・料理などを単品で撮る場合、画角は「2×」
・最も小型のものでいいので、撮影用LEDライトを使う
・左手にLEDライトを握って、斜め方向から光を入れる
・スマホを右手一本で握ってそのままシャッターも押すと、ほぼ確実にブレる。3秒のタイマーを使う

ぜひ、お試しください。

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