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ホームページにペルソナを設定していない!? 訪問者など気にしていない証拠

ペルソナは典型的な訪問者像

ホームページ制作のノウハウ本を読むと、必ず出てくるのが「企画段階でペルソナを決めましょう」です。「どんな人にそのホームページを訪れてほしいか」を決める重要な要素ですので、当然の話でしょう。しかし、現実にはペルソナを設定しないホームページは当たり前にあります。「横行している」といってもいいぐらいです。

ホームページ制作の場合の「ペルソナ」は「典型的な訪問者」

「ペルソナ(persona)」の辞典的な意味は「人」や「人格」ですが、ホームページ制作の上では「想定される典型的な訪問者」を指します。

ペルソナはドラマの主人公並みに設定する

たとえば、学習塾のホームページを企画するとします。主な狙いが小学生の生徒の獲得で、その母親を動かそうとするのならば、次のように作ります……

名前は加藤美恵子で、35歳。京都市伏見区の分譲マンション住まいの専業主婦。大阪市の出身で、お嬢さん学校として知られる○○高校から、そのままエスカレーター式に○○大学に進んだ。子供は小学4年生の男の子と、2年生の女の子の2人。ともに公立小学校に通っている。趣味はフラワー・アレンジメント。猫好きで、マンションで3びき飼っている。

その夫は38歳で大手建築会社勤務の一級建築士。最終学歴は国立の○○大学建築学科の修士修了。年収は800万円。

マンションのローンが20年も残っている。

……などなどです。学習塾の客層や経営者(依頼主)の考え次第で、「乗っている車の車種」「夫婦の親はどこに住んでいて、子供の教育費の援助をしてくれそうか」なども設定した方がいいかもしれません。これらは依頼主と相談し、状況も聞いた上で決めればいいでしょう。

また、ペルソナは1人とは限りませんが、せいぜい2、3人に抑えましょう。多すぎると、相手像がぼやけるばかりです。

ペルソナがホームページ制作にかかせないわけ

なにか商売を始めたり、商品を売り出したりするときにも、ターゲットは作ります。しかし、「30代の主婦。小学生の子供がいる……」といったように、大まかなものが大半です。

今、設定した学習塾のホームページ向けのペルソナを「ほとんど連続テレビドラマの初回みたい。人物の設定や状況の設定をひたすらやっている」と感じた人もいるでしょう。

これだけ詳細にする理由は色々いわれていますが、大きくまとめるとつぎの2つです。

記事などの内容が具体的になる

読んでほしい人を思い描きながら、デザインをしたり、記事を作ったりできるようになります。たとえば、ペルソナがあるおかげで「このホームページの訪問者は、学習塾の授業料はどのくらいだと高いと感じるか」なども想像しやすくなります

その分、「どうやれば、相手の心に刺さるか」を考えたホームページ作りも可能です。

バラバラな立場の人たちでイメージが共有できる

一般的なホームページ制作では各工程が分業になっていて、様々な立場の人が参加します。デザイナー、コーダー、ライター、カメラマンなどなどです。

肩書は「ディレクター」だったり「プロデューサー」だったりとさまざまですが、これらの人をまとめ上げ、それぞれの仕事内容をチェックする役の人も必要です。さらには、ホームページの企画を専門にする「Webプランナー」が参加する場合もあります。

もちろん、だれよりも重要な依頼者(最終クライアント)もいます。できあがったホームページを見て、「こんなのを作ってほしかったんじゃない」とならないようにしなければなりません。

放っておくと、それぞれが違う訪問者像を持ってしまいます。あるいは、まったく訪問者像などを気にせずに作業をしてしまいます。詳細なペルソナはホームページの制作にかかわる人全員で、訪問者のイメージを統一するのにの欠かせないのです。

絞り込みすぎていても、メリットのほうが大きい

「特定の一人に合わせてしまうと、そこから漏れた人はどうなるのか」は気になるところかもしれません。

「その一人を説得できないぐらい、甘い作りの記事やホームページならば、ほかの人の心にも響くことはない」がそれに対する一般的な回答のようです。

これは、なにか理論や統計があるわけではなく、実際のホームページをデザインする人、その中のコンテンツを作る人らの実感からの結論だろうと思います。私もそういった実感を持っている一人です。

訪問者をまったく気にしないホームページは珍しくない

「では、ペルソナを設定しないと、どうなるのか」を私がかかわった・かかわりかけたホームページから2つ紹介します。

訪問者ではなく、記事で取り上げた人だけ気にするオウンドメディアも

クラウドソーシング(インターネットを通しての不特定多数への募集)を通して、取材案件に応募したときの話です。募集元は流通関係の企業で、「自分のところの顧客の感想を記事にしてほしい」というのです。早い話が、よくある「お客様の声」でした。

Zoomでの面談でいわれました。「写真撮影がお得意のようですが、上手な写真は要りません。これまでの記事での写真と差がついてしまいます。そうなると、そこで取り上げたお客様に失礼になりますので」

私は不採用でした。後日、ほかのだれかが書いって撮った記事をチェックすると、たしかにこれまで同様にまったくの素人写真が使われていました。

ペルソナが設定されてなかったたのはまず間違いありません。さらに怖かったのが、新規顧客の獲得のためのオウンドメディア(自社運営のホームページ)にもかかわらず、訪問者への関心がなかった点です。見ようによっては、「すでに掲載済みの顧客だけがペルソナとして意識されていた」といえなくもありません。

あくまで想像でしかありませんが、もし、ペルソナを企画段階で設定し、関係者で共有していたならばどうだったでしょう。「一般的な訪問者への関心が頭からまったく抜け落ちる」にはならなかった気がします。

ついでにいえば、こんなオウンドメディアは運営したところで、手間とお金の無駄にしかなりません。

原稿代行業者自身の姿を投影しただけのペルソナ

次は、ある東証一部上場の金属会社の話です。そのオウンドメディアは主に中小企業から金属加工の注文を受けるためのものでした。

私はライターとしてかかわり、何本か記事を納めました。しかし、ペルソナが設定されていないので書きにくくて仕方ありません。私にしたら、「記事一本一本も、そのオウンドメディア全体も、目的がない」と同じでしたので。

間に入っている原稿代行業者の担当者に、「今からでもペルソナを作ってくれ」と頼みました。そうしたら出てきたのが、「東北大学の機械学科、修士修了……」でした。

ご本人がある難関国立大学大学の修士修了なので、そうなったのでしょう。ほかの項目もご本人の環境と大差ないものでした。最初にペルソナを設定していなかったのを含め、完ぺきなまでに訪問者側の視点を想像する力はないようでした。

「論文のやり取りをするわけではありません。相手は、いわゆる“町工場”のおやじさんですよ」と、私の方で作り直しました。「MARCHの工学部出身。ネジ工場経営で、親のあとを継いだ2代目……」

企画段階での打ち合わせもまったくなかったようで、結局、金属会社の右も左もわからない担当者に思いつきで仕様を変えられて、どんどん使いにくいホームページになっていきました。

ペルソナがないのは、企画が練られていない証拠

ホームページは企画段階で決めることがいくつかあります。

「直接的に売り上げ増につなげるのか。あるいは、企業としての認知度を上げるだけでいのか」といった目的、「サービスへの申し込みがあったら成功とするのか、あるいは資料請求でそうするのか」といったコンバージョンあたりは、決めなければいけない代表でしょう。

ペルソナもそのうちのひとつです。そもそも、「最も典型的な訪問者」です。「ペルソナが決まっていない」は「だれに読んでもらいたいかも決まっていない」と変わりません。「なんのためにやるホームページかもわからない」となるのは当たり前の話です。

しかし、私がかかわった範囲では、この「当たり前」ができていな依頼主(最終クライアント)や原稿代行会社が多数派でした。

「ペンタ工房」ホームページのペルソナは「地元商工会の会員」

もし、ホームページ制作を依頼した業者がペルソナの話をしないまま作業を進めるようだったら警戒しましょう。「なんのためのものか、どんな人に読んでほしいかもないままのホームページができようとしている」と同じですので。キャンセルできるならば、したほうがいいかもしれません。

もちろん、この「ペンタ工房」のホームページでもペルソナは設定しています。柱になる項目を2、3挙げると……

・大津北商工会の会員で、小さい会社や地元のお店の経営者
・ホームページは作りたいが、面倒になるのも嫌だと思っている
・こちら(ペンタ工房)から、ちょくちょくご機嫌うかがいに顔を出せるぐらい身近

……です。

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