ホームページとその担当者への評価から逃げる会社が多すぎる
ホームページの運営に外部からかかわると、「ぬるま湯」と呼ぶしかない状況にしばしば出くわします。
その状況とは、「訪問数すら調べていない。ホームページが何ももたらしていないのも放置している」「従って、担当者は仕事をやっているふりだけしてしていればいい。その結果、その担当者がダメ社員化する」などです。
その上司や経営者に対し「今からでもしゃきっとやったほうがいいですよ」といっても、おそらく無理でしょう。担当者と似たりよったりですから。しかし、まずは、「いかにそのホームページがダメか」だけでも把握しましょう。せめてもの、上司や経営者としての仕事です。
目次
ホームページを評価の対象にできないのは「厄介者扱い」のせい?
ホームページが失敗する大きな原因のひとつは、おそらくは「ホームページを運営するだけの人材がいない。にもかかわらず、『時流に乗らないといけない』とばかりに安易に始めてしまう」でしょう。
ホームページもその担当者も評価の範囲外に置かれがち
どこの会社や団体、お店でも、業務に対しては「成功しているかどうか」の評価をし、担当者にも人事上の評価をするのが当然です。ただ、これは建前です。そうなっていない場合もあるのは、実際のところでしょう。あまりにひどいと、経営危機が待っています。
その「そうなっていない場合」のなかでもとりわけ多そうなのが、ホームページ関連の業務とその担当者です。私のライターやカメラマンとしての経験でも、「まったく失敗していても、見直しはしない。担当者もおとがめなし」といったホームページに何度もかかわってしまいました。
ホームページにはだれも積極的にかかわりたがらない
失敗ホームページを放置している会社の担当者をモデル化すると次のとおりです。
- ・上司からの突然の指名で、担当者になってしまった。
- ・本人は特にインターネットに興味があるわけでも、ホームページに期待しているわけでもない。
- ・ホームページに詳しくなる準備期間ももらっていない。そういった研修を受けたわけでもない。
- ・ほかにメインの業務があって、「ホームページは時間のある時にやってくれ」といわれている。
同様に上司や経営者を同様にモデル化すると、こんなところでしょう。
- ・「今の時代、インターネットを活用しないのはありえない」と聞きかじってはいる。だけど、理解はしていない。
- ・だれかに押し付けたが最後、距離をおいてしまう。
- ・「『距離を置く』をしないならば、自分(上司や経営者)もある程度はホームページの仕組みについて詳しくならなければならない」と薄々気がついている。
担当者からみても上司側からみても、ホームページは厄介者なのです。「まったく失敗していても、見直しはしない。担当者もおとがめなし」になるのも、仕方がないといえなくもありません。
上司ならばせめてこれぐらいはチェックしたい
だからといって、放置では上司や経営者も職責を果たしたとはいえません。一方で、「ホームページ制作・運営の知識は急にはつかない。下手に手を出すとさらに混乱を招くかも」も当然の懸念です。
まず、簡単に実行できて、間違いのないところだけでもやりましょう。ここで挙げるのは、「これができていたところで完ぺきには程遠い。しかし、できていなければ、そのホームページがまともに機能している可能性はほとんどない」をはっきりさせるチェック方法です。
会社名などのそのものズバリのサイトタイトルはNG
「株式会社○○」「○○工務店」「レストラン○○」といったようなそのものズバリだけのサイトタイトル(ホームページタイトル)であれば、それだけで「まったくわかっていない人たちで作ったホームページ」と判断できます。
そのものズバリのタイトルが許されるのは、「ソニー」「日本製鉄」「伊勢丹」「住友商事」などの大企業だけです。これらの情報が欲しい人は、「ソニー」「日本製鉄」などでググってきますから。
中小企業や一般的なお店などであれば、想定される訪問者が使いそうなキーワードを盛り込んだタイトルにする必要があります。たとえば、宿泊施設ならば「温泉と近江牛が自慢 琵琶湖畔の宿・ペンタ旅館」といったぐあいです。もちろん、この「キーワード」の選定も大事です。
それが、キーワードになりそうな単語さえ入っていないのですから、論外です。
思いつく限りのキーワードで順位チェックする
そのキーワードは、本来ならばホームページの企画段階で一通りは出しておくものです。しかし、それはまともな人たちでホームページを作る場合です。
仕方ないので、今からでも自分が検索する側になったつもりで考えてみましょう。1語だけで上位にくるのはまず無理です。2語3語組み合わせます。これも同じく宿泊施設で考えるのならば、「琵琶湖・近江牛」「旅館・温泉・琵琶湖」といったぐあいです。
私がよく使っているのは、検索順位チェッカーです。多少反応が悪いときもあるのですが、キーワードを5組、一気に調べられます。
10位以内に入っていれば、まずまずです。20位30位となると、訪問者は微々たるものでしょう。それ以下となると、明らかに失敗です。
私がライター兼カメラマンとしてかかわったホームページのなかには、どんなキーワードでチェックしても全部「圏外(100位にも入っていない)」の例がありました。そこそこ有名な企業で、社員もあてて編集部まで作っていたのにもかかわらずです。
見出しの設定をしているかどうか確認する
検索順位を上位に持ってくるのに、見出しを正しくつけるのは不可欠です。「大きい見出し」「中ぐらい見出し」「小さい見出し」などを使い分けるのも「正しくつける」のひとつです。
一見できているように見て、実はデタラメのホームページは少なくありません。驚くほどです。
これらは、Wordなどでやるように文字のサイズや太さだけで使い分けるものではありません。インターネット用の言語であるCSSで「最大の見出しには頭に <1>、最後に </h1>をつける」「次の大きさの見出しには頭に<2>……」などのルールがあるのです。
これが、「<1>や<2>はなくて、<3>だけある」ならばまだマシな方で、「まったくない」も珍しくありません。私かかかわったなかだけでも、東証1部上場企業のオウンドメディア(自社で運営するホームページ)が、「まったくない」でした。
見出しがどうついているかは、ラッコツールズが用意している「サクッと使えるWebツール」の中の「見出し(hタグ)抽出」ですぐに出せます。ぜひ、ご自身がかかわっているホームページのURLでご確認ください。
やり方がいくら難しくても、覚悟して訪問数は把握する
訪問数(アクセス数)は把握しましょう。そのためのツールとしては、Googleアナリティクス(GA4)が定番中の定番です。
設定するのも、どこを見たらいいのかを理解するのも大変です。しかし、乗り越えましょう。少しググればいくらでも説明は見つかるはずです。
訪問数はどれだけあればいいかは、そのホームページの内容によります。また、「数ばかり多くても、まったく自分の会社やお店には役に立たないような人ばかり」となっている場合もあります。
しかし、今回はまだそんな心配をする段階ではありません。「致命的に少ないかどうか」だけ判断してください。おそらくは、「1カ月の訪問数は2ケタ。しかも、大半が自分自身を含む関係者だけ」といったホームページはザラにあるはずです。
関係者をカウントから除外する方法もあるのですが、そんなホームページ運営しかできていない担当者らではハードルが高すぎるでしょう。適当に数字を割り引けば十分です。
「月に数十人(あるいは数人)しか見ていない」は十分な衝撃ではないでしょうか。いくら社としても担当者としても邪魔者扱いにしているホームページでも、バカらしくなるはずです。
担当者の責任を問わないと、本人のためにもならない
ここまで書いて、本当にだらしないことしかしていないのに「私はちゃんとやっています」と主張する担当者の顔が今、私の脳裏に何人か浮かびました。
興味もないものをやらされ、しかも、上司のチェックも入らないので、担当者を人間としてスポイルされてしまったのかもしれません。本人にとっても社やお店にとってもこれはマイナスでしょう。
ちゃんと担当者の責任は問いましょう。それが本人のためです。ただ、それには今からでも自身がホームページのことを理解する必要があります。また、任命責任もあります。両方ともきちんと処理しましょう。 それをやらないならば、上司や経営者がいる意味がありません。
ホームページ失敗による損失は二重三重にかかってくる
訪問者が2ケタ程度のホームページなんぞ、それまでにかけた費用や手間、時間はドブに捨てたようなものです。真剣味のない取り組みなので、ノウハウの蓄積にもなっていないでしょう。
さらには、「そのようなやる気のないホームページは会社やお店のイメージダウンになるだけだ」との考え方もあるかも知れません。しかし、これは微妙ですね。そもそも、目にする人も少ないのですから。
全体として比較すべきなのは、「ホームページが成功していたときとの差」でしょう。もちろん、そのホームページの狙いにもよりますが、もしかしたら「かける費用は少なく、業績もいい“営業所”」が持てた可能性を消してしまったかもしれません。
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