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オウンドメディア担当部署を「編集部」とするのは意識が古い証拠

オウンドメディア編集部

オウンドメディアの担当部署の名称を「編集部」としている企業にたまに出くわします。ライター兼カメラマンとして何社かかわってみて、今ではそれだけで「期待薄だな。オウンドメディアをまともに運営できないだろう」と思うようになりました。単に語が古臭いだけではなく、どうやら、紙の広報誌時代の考え方のままやっているようなのです。

オウンドメディアの運営では「編集」に当たる部分はごく一部です。「ほかの部分が見えていない結果、『編集部』と名付けてしまう」と考えています。

「編集部員」らで4年間、訪問者のいないオウンドメディアを続けた有名企業

「大手経済紙に『経営改革に成功した』としてたびたび取り上げられる有名企業のオウンドメディア」の話を以前、書きました。「社員だけでも3、4名当てて、専門の部署も作った。4年間にわたり、毎日、取材記事をアップし続けた。しかし、どの記事もまったくGoogle検索にあがってこない」といった内容です。

その部署の名前は「編集部」でした。また、トップは「編集長」、所属社員は「編集部員」です。

つい1カ月ほど前、別の社でもライターの募集に応じたところ、そのやり取りの中でも「編集部員らで検討します」などの言葉が出てきました。その社のホームページのhtmlやcssをチェックすると、「h1」「h2」といった見出しさえ設定できていませんでした。

ほかの部分も同じようなレベルで、「ホームページやオウンドメディアの基本中の基本さえ抜け落ちている。それでよく給料がもらえるな」というしかありません。

「編集部」には、オウンドメディアを作れない・運営できない

最初に紹介した企業では、「企業内に編集部まである」のを「かっこいい」とも思っていたフシがあります。しかし、オウンドメディアの担当部署に「編集部」の名称を当ててはダメです。

編集部でやることといえば、「企画を立てる。その企画に沿って、記事を手配し、ページのレイアウトを工夫し、印刷に回す」がメインです。出すのも、広報誌などです。ほかの作業も、せいぜい「どこに配布するか」「何部印刷するか」までです。

「評判がいい・悪い」も気になるところでしょう。しかし、自分たちでダイレクトに評価するところまでは守備範囲に入っていません。

そもそも、「編集」とは「一定の方針に従って資料を整理し、新聞・雑誌・書物などにまとめること」を意味します。「広報誌を作るだけで、ほぼ全部。それで終わり」になるのは、ある意味、当然です。

「編集部」の名称と内容ではオウンドメディア時代に対応できない

もちろん、オウンドメディアも記事がないと成り立ちません。「企画を立てる。その企画に沿って、記事を手配し……」も必要です。

「編集部としての仕事もある」と言い換えていいでしょう、しかし、それはオウンドメディア担当部署の作業の一部でしかありません。

加えて、SEO対策やアクセス解析、KPI(重要業績評価指標)の策定と評価など、デジタルメディア特有の専門性が不可欠です。いずれも、従来の「編集部員」の守備範囲にはありません。

編集しかできない部員しかいないと、成果を出せないのは当然です。その典型が、最初に紹介した有名企業でした。

部署の名前は「デジタル・コミュニケーション部」などでないといけない

「では、オウンドメディア担当部署の名前はどうするべきか」が問題になるでしょう。実際にあるのは、「デジタル・コミュニケーション部」や「コンテンツ・マーケティング部」です。

また、こういった名称を採用している企業の多くは、オウンドメディア以外にまで視野を広げています。

もちろん、企業によって差はあります。典型的な業務を挙げると次のようになります。

【オウンドメディアに関係する部分】

  • ・オウンドメディアの企画・制作・運営
  • ・デジタルコンテンツ(記事・写真・動画など)の制作・手配
  • ・SNSを活用したコミュニケーション施策の立案・実行
  • ・SEO対策の実施
  • ・アクセス解析やユーザー行動分析

【「編集部」時代にはなかった部分】

  • ・デジタルマーケティング戦略の立案
  • ・顧客やファンとのエンゲージメント強化
  • ・効果測定とKPIの設定、改善施策の立案
  • ・他部門(広報、マーケティングなど)との連携
  • ・外部クリエーターやベンダーの管理・活用

「『編集部』の多くは、オウンドメディアさえ全うできない」「『デジタル・コミュニケーション部』などならば、オウンドメディアを核として、デジタルマーケティングまでカバーしようとしている」ですから、「『編集部』と『デジタル・コミュニケーション部』の差はとてつもなく大きい」といえるでしょう。

「編集部」の語を平気で使っているのならば、今すぐに意識の改革を

「編集部」の名称を変えるだけはなく、業務の内容もスタッフの能力も「デジタル・コミュニケーション部」にふさわしいものに変えなければいけません。しかし、適切な人材が不足している企業も少なくないのが現状です。

途中採用は有力な対処方法でしょう。しかし、優秀なデジタル人材であれば、「編集部」の語を見ただけで、「この会社は遅れている」と見破ってしまいそうです。それでは、「編集」にしか興味がなく、デジタルマーケティングにはむとんちゃくな応募者ばかりになりかねません。

「編集部」の名称から脱却するのは、単なる始まりに過ぎません。カバーする範囲を考えると、「デジタル・コミュニケーション部」は社内のDX(デジタルトランスフォーメーション)化のけん引役になる部署です。オウンドメディアに失敗し、デジタル・コミュニケーション部も活躍できないようでは、「DXの波に乗れない」も決まったようなものです。

オウンドメディアを成功させている企業もあるのを考えると、「ほとんど時間の猶予はない」と覚悟したほうがいいでしょう。

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