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漢字? ひらがな? 送り仮名? ホームページの文章に迷ったら、記者ハンドブック

共同通信社 記者ハンドブック

「『イタリア』か『イタリヤ』か」「『謎々』か『なぞなぞ』か」「『町医者』って呼び方がしっくり来ない」……そう迷うときは、共同通信社の『記者ハンドブック 新聞用字用語集』を引いてみましょう。

もともとは新聞記者のために作られました。今やWebライターを始め、文章を書く人には必携です。実は、ホームページの依頼主にも、何通りにも役に立ちます。

記者ハンドブックは文書を書く人必携の用字用語集

記者ハンドブックに対して、「一民間企業(実際には社団法人)が決めたものに従うのはバカらしい。用字用語ぐらい自分で決める」とする人もいます。しかし、簡単に批判する前に、その内容と、どのくらい十分に検討して作られているかを知っておくべきでしょう。

「穴を空ける」ではなく「穴を開ける」、「町医者」でななく「開業医」

『記者ハンドブック』の初版が出たのは1956年です。数年に一度改定され、2023年には14版が出ました。

書かれている主な内容は……

・漢字、ひらがな、カタカナの使い分け、送り仮名の付け方
・同音異義語の使い分け
・外来語の使い方
・新聞記事の書き方に関する解説

……などです。

新聞記事などで、文章の表現に困ったときに引きます。項目の並べ方は、国語辞典や漢和辞典に似ています。

たとえば、「(板に穴を)あける」の場合、「空ける」か「開ける」で迷うところではないでしょうか。ハンドブックでは「具体的に物体に穴をあける場合は『開』を使う」と解説されています。

また、「イタリア」か「イタリヤ」ならば「イタリア」を使い、「町医者」は「開業医」、「謎々」は「なぞなぞ」と言い換えるように指定されています。

どの語も時代ごとに詳細な検討が加えられている

どの漢字が使えるか・送り仮名をどうするかについては、文化審議会が検討し、内閣告示として出されている「常用漢字表」に基本的には従っています。

ただ、新聞表現としてはまた別の考えもあり、それを調整した結果が、記者ハンドブックです。

記者ハンドブックで取り上げられる用字用語も時代とともに変化しています。たとえば、14版では「うぐいす嬢」は「場内アナウンス係、車上運動員」に、「空揚げ」は「唐揚げ・から揚げ」に改められました。

これら用字用語ひとつごとにかなりの労力をかけて、検討されています。「うぐいす嬢」を使わないようになったのは、ジェンダー平等への関心の高さへの反映です。

参照:『「空揚げ→唐揚げ」 新聞用語のバイブル『記者ハンドブック』改訂の背景とは 共同通信校閲部に聞く』(中日新聞社)

共同通信社のものが最優先されるわけ

同様のものは、朝日新聞社や読売新聞社、あるいは、NHK、日本新聞協会などからも出ています。

どれが優れているというものでもないのですが、共同通信社のものが「ライターの世界での業界標準」と呼ばれることが多いようです。

というのは、朝日、読売、NHKなどのものは、その社内・協会内で使われるだけです。日本新聞協会のものはあまり使われていない印象があります。

一方、共同通信社のものは、地方紙のほとんどが採用しています。自社で用字用語集を作る余力がなく、その上、共同通信社配信の記事を掲載することが多いためです。また、実際には厳密には運用していないようですが、民間放送局などでも建前上は共同通信社のものを採用しています。

つまり、共同通信社の記者ハンドブックは「日本のメディアで最も広く使われている用字用語集」といえるのです。

新聞記者以外でも使ったほうがよいわけ

ここまでのお話でご理解いただけるでしょうし、名前自体がそうですが、記者ハンドブックは新聞記者らのために作られています。しかし、文章を書く人一般におすすめです。

ハンドブックに従った表現にすると、語句の使い方に裏付けができるだけではなく、差別表現なども避けられます。

もうひとつおすすめの理由は「わかりやすい文章になる」です。

かつて「新聞の用字用語や表現は高校2年生の学力で理解できるようになっている」といわれていました。ほとんど聞かなくなったフレーズですが、実際に読んでみると、今も変わりないようです。

そういった易しい表現ながら、政治、経済、文化、スポーツなどなどどんな分野の情報も問題なく伝えられているのではないでしょうか。

こんな便利なものを、「一民間企業が決めたものに従うのはバカらしい」と排除する理由はありません。想定される読者がよほど特殊でない限り、記者ハンドブックでよいでしょう。

本格的に書く場合は校正支援ソフトも検討しよう

PressTermでの校正の様子。これで完全に用字用語の間違いが指摘しきれるわけではないが、校正の手間がかなり削減される。
PressTermでの校正の様子。これで、用字用語の間違いが全部指摘されるわけではないが、校正の手間と時間が大幅にセーブできる。

共同通信社の記者ハンドブックは2,090円です。サイズも新書と同じなので、邪魔になるほどではありません。

「これ、漢字で書いたほうがいいのかな」「送り仮名はどうだっけ」と迷って時間を浪費し、自信も持てないぐらいならば、一冊そばにおきましょう。

さらには、会社やお店の広報担当などで、文章を書く機会が多い人には、記者ハンドブックに従った校正ができるパソコンソフトの導入をおすすめします。

これには、2種類あります。「Press Term」を使うか、「Just Right!7 Pro」に「共同通信社 記者ハンドブック辞書」を合わせて使うかです。

「Press Term」(NTTデータ東北)
「Just Right!7 Pro」 / 「共同通信社 記者ハンドブック辞書 第14版 for ATOK」

仕事の依頼先が文章の素人かどうかのチェックにも使える

ホームページの依頼主にもおすすめです。原稿ではなくても、手紙やメールなど文章を書く機会はいくらでもあるのではないでしょうか。そういったときにも、役立ちます。

もうひとつ使い道があります。文章の仕事を外注するときに、相手業者に「用字用語はどうしていますか? 共同通信社の記者ハンドブックは使っていますか」と尋ねるのです。

「いや、ほかの用字用語でやっています」ならば、相手の評価はその理由次第です。もし、「共同通信社の記者ハンドブック自体を知らない」という返事であれば、「相手は文章の素人である。ろくに勉強はしていない」と判断できます。実は、ライターを名乗っている人でも、こちらから「共同通信社の記者ハンドブックとは」と説明しないといけない人は珍しくありません。「それだけ、“ニセモノ”が多い」とお考えください。

私が尋ねられたら、こう答えます。「基本は共同通信社の記者ハンドブックです。しかし、その業界や業種なりの用字用語のルールもあるでしょう。また、依頼主の思い入れもあります。そういった場合は相談ですね」

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