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あなたが撮ったスイーツや料理の写真がおいしそうに見えないわけ・その1〜まともなカメラの“撮って出し”はわざと眠くしてある

ショートケーキと牛乳

SNSを見ていると、一眼レフやミラーレスで撮った写真で「惜しい写真だけど、本人は『特段の問題はない』と思って出しているんだろうなぁ」と思うことが少なくありません。

特のよくあるのが、「『こんなおいしいものを食べました』なのに、発色が悪くてい、おいしそうには見えない」です。そうなる理由の多くは「撮って出し」で使っているせいです。実は、撮って出しはある程度はカメラメーカーが意図的に“眠い”写真にしています。

いいカメラの画像データの撮って出し画像は“眠い”のが当たり前

一眼レフやミラーレスの画像データは「レタッチ(補正)してようやく完成する」を前提にしています。カメラメーカーはそういう作り方をしています。

撮って出しをレタッチするとこれだけ変わる

まずはこちらの写真をご覧ください。

X(旧・Twitter)などSNSにはよくご自身が食べたスイーツの写真がアップされています。そういった写真ではありがちな色とコントラストです。「コントラストも色の鮮やかさも特段の違和感はない」と思った人も少なくないかもしれません。

中には「(レッスン料を支払って受けた)写真教室での作例」としてこの程度の色とコントラストの写真がアップされている場合もありました。

しかし、こちらと比べるとどうでしょう。

天井バウンスのレタッチ後・ショートケーキ
コントラストを上げ、白いクリームがちゃんと白に見えるように、色の補正した。

同じコマの写真です。厳密にいえば、先のものはJPGで保存したデータで、同時にRAWデータで保存されたデータから、現像とレタッチを経たものです。

これを見てからならば、「先の写真は色が濁っているし、コントラストも低い」と理解できるのではないでしょうか。

もちろん、「レタッチすればよくなるのはわかっている。だけども、SNS程度に手間をかけていられない」といった人もいるでしょう。しかし、先のものと同じような写真をアップできるのは、「正解を知らない」からではないでしょうか。

まともなカメラの撮って出しはコントラストが低い・色がさえない

デジカメが普及しだしてからしばらくは、安いカメラほど撮って出しがきれい傾向がありました。

デジイチ(デジタル一眼レフ)よりはコンデジ、デジイチ同士・コンデジ同士ならばより値段が安いほうが、なにもしなくてもコントラストはしっかりし、色も鮮やかなのです。

カメラメーカーの考えが見て取れます。「Photoshopなどのソフトを使ってレタッチをするのは値段の高いカメラを使う人たちだ。安いカメラを使う人は、どうせ手を加えないまま画像データを使う。だから、最初から自動で目一杯補正をしておいたほうが歓迎されるだろう」

今では「撮って出しがきれい」がセールスポイントになるデジイチやミラーレスも増えました。しかし、以前ほど極端ではないにしても、「いいカメラほど撮って出しはコントラストが低い・色もさえない。“眠い”写真になる」の傾向は残っています。

スマホの撮って出しがきれいなのはレタッチしないのが前提だから

多くのメーカーがコンデジから撤退しました。残っているメーカーも製品の種類は絞り込んでいます。この安いコンデジに取って代わったのが、スマホ内蔵のカメラです。

「最初からコントラストは上げ、色も鮮やかにしておく」の意味でも、取って代わったのはスマホ内蔵のカメラでした。

スマホのカメラを常用する人は、レタッチをするとしても、アプリでも使ってやたら彩度を上げて、「インスタ映え」を狙うのがせいぜいではないでしょうか。

スマホの内蔵カメラに使われているイメージセンサーは超小型で、撮って出しではさえた写真にはなりません。そのため、自動でコントラストや色調を強力にレタッチしてからJPG保存するのです。

「デジイチやミラーレスよりも、スマホの内蔵カメラのほうが高性能らしい。だから写真もスマホの方がきれい」と思っている人は珍しくない程度に見かけます。しかし、間違いです。あとの補正を犠牲にしてまで、強力にレタッチしている結果が“きれい”な写真です。

スマホの内蔵カメラ
スマホでは薄い筐体に、ごく小さいレンズやセンサーなどが押し込められている。正攻法ではミラーレスやデジタル一眼レフと画質で対抗できないのは、直感的にもわかるのではないだろうか。

「コントラストが低い。色もさえない」は「レタッチに使えるデータが多い」と同じ

いいカメラの場合の「コントラストや色がさえない」は「補正の度合いが少ない」とほぼ同じ意味です。

カメラメーカーがそうするのは、補正の仕組みが理由です。コントラストを上げたり色調を整えたりする工程の大半で、すでにあるデータを変更したり、新しくデータを加えたりはしません。すでにあるデータをひたすら間引きます。例えば、赤すぎる場合は赤の要素を抜き、青くするのならば青以外の色の要素を抜きます。

当然のことながら、レタッチを加えれば加えるほど、データが減ります。データが減ったところからは、更に補正を加えようとしても、使える材料が減っているので、うまくいかないことが珍しくありません。

本気でいい写真を残すのならば、補正に有利なRAWデータで保存する

ここまでは、撮影時の画像データをJPGデータで保存した場合の話です。ほかにはRAWデータがあります。

画像を記録するイメージセンサーは、受光素子という「ミクロ」の言葉でもイメージしきれないぐらいの小さなの部品の集まりです。「2,000万画素」のイメージセンサーならば、2,000万個の受光素子が並んでいます。

受光素子は自分のところに受けた光の強弱だけを取得します。この受光素子の数だけある光の強弱の記録がRAWデータです。

そのままでは画像データにさえなっていないために、「現像」という作業が必要です。補正も圧縮もされていないので、データサイズもかなり大きくなります。

その代わりに、レタッチに使える材料はフルに残っています。もし、本気でいい写真をのしたいのならば、RAWデータは避けては通れません。

写真の良しあしがわからないと、自分の写真が不正解なのもわからない

きれいな写真を自分のものにするまでには、少なくとも「撮影時のデータはRAWで残す」と「Photoshopなどの写真加工ソフトを使いこなす」のふたつのハードルがあります。

それよりさらに前に「この写真はそのままではアップしないほうがいい」と気が付く必要があります。これには、「コントラストや色はおかしくないか」と疑う習慣をつけるのが不可避です。もちろん、写真の良しあしもわからなければいけません。

具体的にどうやってこれらの習慣や能力を身につけるについては、今回はとりあえず「ルーズにSNSにアップしているだけでは無理」とだけ申し上げておきます。

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