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新聞に対する著作権侵害について思う〜こんな無法地帯にだれがした

新聞ラック

実は今日、『新聞紙面をホームページやSNSにアップするための条件』でノウハウ記事を書こうとしていました。

しかし、やめました。いくら自分では「こうやっておけば、新聞紙面をアップしても問題はない」とはわかっていても、著作権上ギリギリのところを狙うわけです。「安全とは信じているが、爆発しないとは限らない」といったところです。落ち着いていられません。

代わりに、その記事の構想を練っているときに思い浮かんだことを書いてみます。これでも、いくらかは「今後、新聞紙面をアップしてみよう」という人たちの参考にはなると思いますので。

紙面をホームページ、SNSにアップするための条件

まず、「著作権に触れないで、紙面をホームページやSNSにアップする方法はある。無茶な話ではない」のをご理解ください。

著作権に触れないための諸条件

以下は、私が知っている「著作権を侵害しないで、新聞紙面や雑誌のページを転載する方法」です。

・見出しの文言には著作権は成立しない
・レイアウトもよほど凝ったものでないと成立しない。一般的な新聞の「一面」とか「社会面」レベルならば、「凝った」に入らない
・文字は読めたらアウト
・写真は図柄がわかったらアウト
・天気予報や人事情報など、だれが書いても内容が同じになるものは出していい`

これらは、四半世紀も前になりますが、私が全国紙の写真部員時代にやっていた方法です。

見出しやレイアウトの著作権については、判例がある

「そんな古いやり方が、インターネットの時代に通用するのか?」と疑問に思われたかも知れません。

たとえば、「見出しの文言には著作権は成立しない」ならば、読売新聞社がデジタルアライアンス社を訴えた、東京地裁の「平成14年(ワ)第28035号著作権侵害差止等請求事件」があります。デ社はニュースリンク配信システムを運営する会社で、判決では「見出しは著作物であるとはいえない」との判断が示されました。

また、レイアウトの著作権については、いわゆる「知恵蔵裁判」で争われました。これは新聞の話ではなく、用語集の『知恵蔵』の話です。ブックデザイナーがページのレイアウトなどブックデザインに著作権を認めるように求めて裁判を起こしました。相手は発行元の朝日新聞社です。

しかし、レイアウトについては、「レイアウト・フォーマット用紙としてありふれた態様であるから、これらの部分に創作的な表現を認められない」などとして、原告の訴えは退けられました。

この裁判は1995年から99年にかけて争われました。やや古い話ですが、今でも本や新聞などのページレイアウトにかんする著作権を考える上での指標になっています。

無法地帯か? 新聞紙面のSNSなどへの無断転載

そんな転載のためのルールなどお構いなしに、しかも、自分自身の頭はスカスカのまま他人の画像をパクって並べる人は少なくありません。“他人のふんどし”しか見せていないのに、たいていは論客気取りです。

自分のホームページに連日、無断転載した異常者もいる

おそらくは2年か3年前まで、一日も欠かさず、日刊ゲンダイの紙面をアップしている異常者がいました。ほとんど自分の仕事か義務のように考えているようです。日刊ゲンダイでは契約すればネット版が見られるだけではなく、印刷でのレイアウトと同じ紙面がダウンロードできます。これをアップしていたようでした。

私の方から何度か日刊ゲンダイに知らせましたが、全く動きはありませんでした。今回、久しぶりにその異常者のホームページを見たら、相変わらずあちらこちらからパクりまくりでしたが、日刊ゲンダイの紙面はありませんでした。「ようやく、日刊ゲンダイも動いたのかも」と見ています。

削除を命じられると、ほかの新聞紙面をアップするバカも

ほかにもこんな例がありました。

その人のホームページもパクってきた画像や新聞紙面が満載でした。新聞紙面はどうやら、だれかほかの人が写真に撮ってアップしたのをさらにパクっていたようでした。ですから、全国紙地方紙を問わず、どこの社のものでもあります。

たまには、新聞社に見つかる場合もあったようです。「○○新聞から削除するようにいわれました。ですから、同じ話の記事がでている△△新聞をアップしておきますね」

確信的にやっているのか、ただのバカなのか、「もう著作権侵害はやめておこう」との考えにはならないようです。

紙面の著作権にはルーズなのは新聞社・新聞記者も例外ではない

新聞の著作権を侵害しても平気な人は、新聞社内にもいるようです。しかも、大物記者、有名記者も例外ではありません。

名物コラムを担当した記者までが連日、紙面をアップする

今から7年前、全国紙のベテラン記者が連日、Twitter(現・X)に1ページ丸々の紙面をアップし始めました。画像は極めてクリアでしたので、おそらくはカメラで撮ったものではなく、最初からデジタルデータで作られたものでしょう。

これが新聞社の公式アカウントであれば、全く問題視する必要はありません、紙面の著作権は新聞社が持っていますから。ところが、アカウントはその記者個人のものでした。もちろん、その社の記者であっても、勝手にアップはできません。

「著作権侵害ではないか」、何人もの人が気が付きました。私や、私とよくやりとりしていた相互フォローの人もです。そのTweetに対し、返信の形で指摘したところ、両名とも速攻でブロックされました。

数日後、ようやく止まりました。「『社からやめてくれ』と連絡がありました」が理由です。「どんな紙面なのかを広めることは○○(新聞社)のためだと思うのですが」との未練がましい言葉が添えられていました。

私個人は、「Twitterのようなだれでも読めるところに頻繁に出してしまうと、わざわざお金を出して買う人がいなくなる」と考えています。仮に、この記者のいうように社のためになるとしても、記者個人が判断することではありません。記者個人は著作権者ではありませんので。

ちなみに、この記者はその数年前までは、一面中程にあるその社の名物コラムの担当者でした。だれが見ても「社を代表する大物記者」です。

著作権対策はしているが中途半端なブロック紙の有名記者

今回、あるブロック紙(準大手新聞社)の有名記者のTweetをチェックしました。

その記者は新聞紙面を時々アップしていました。私の方は、フォローもしておらず、たまに流れてくるTweetをちらっと見る程度でした。

「さすが現役の記者だけあって、ちゃんと著作権対策をしてある」ようなイメージを持っていました。先に挙げた「文字は読めたらアウト」などはクリアしていると思っていたのです。

しかし、違いました。まず、「文字」の部分については、記事の「前文」部分は読めるように残していました。こういったやり方もあるのは知っています。せいぜい20行か30行で、記事全体から見ると一部です。「引用が成立する」と見方もできるのです。とりあえずは、「グレーゾーン」といっておきましょう。

問題は写真でした。全くぼかしが入っていません。これでは完全にアウトです。

この記者についてはよくトラブルが聞こえてきます。世間に伝えられているところではかなり強引な面のある人物のようです。

著作権上問題のあるTweetについては、「上司や同僚など社内の人間は気がついているけども、反発を恐れてなにもいえないのか」、あるいは、「紙面を転載する際のルールについて、しっかりと指導できるだけの人間がいないのか」で判断がつきかねています。

新聞社が取り締まってくれないと、私のところにも“害虫”が飛んでくる

紙面の無断転載で、新聞社が不利益を被っているのは間違いないでしょう。しかし、私は同情的に見ているわけではありません。むしろ逆に、新聞社に対して腹を立てています。

というのは、田畑の害虫被害と同じ状況だと思うのです。田畑ではいくら自分のところで一生懸命に害虫を防いでも、周囲に耕作放棄地があると、たいした効果はないそうです。というのは、いくらでもそこで害虫が発生し、自分の田畑にも飛んできますから。

私はパクられたイラストを巡って裁判を起こした経験もあります。弁護士を立てない本人訴訟でした。個人がやるにはかなりの負担です。弁護士を立てていたら、今度はその費用で赤字になっていたでしょう。

いくら衰退し、今も坂を転がり落ちている最中とはいえ、全国紙やブロック紙は大組織です。法務関係の社員もいれば、顧問弁護士もいるでしょう。にもかかわらず、パクリ屋たちに甘い対処しかしていないのです。それどころか、社内からもパクリ屋まで出し、「大規模な害虫発生地」になっています。

「お前ら(新聞社)のせいで、害虫がそこら中を飛び回っている」としか思えないのです。

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