ホームページ用の文章は依頼主に書けるか?【前編】〜「規格」に沿っていないと評価から外される
「ホームページ用の文章はお客様ご自身がご用意ください」「全部おかませでOK。依頼主様は文章と写真を持ち込むだけ」
業者の案内を見ると、当たり前のように書かれています。「写真もそうだけど……本当に自分で記事用の文章が書けるのか」と考えるところでしょう。
結論をいいます……
「よくわかっていない人たちが『ホームページ』と称するものに、文字を並べる」はできるかもしれない。しかし、Googleが定めた“納品規格”に沿った文章を書いていないと、そのサイトが検索上位に来ることはない。訪問者もほとんどいないので、ホームページとしての役割は果たさない。掛けたお金もムダになる
……だけです。
目次
不可欠なはずのSEOが無視されるわけ
ホームページの文章を特徴づけているのは、「SEO」です。「Search Engine Optimization」の略で、日本語では「検索エンジン最適化」です。「 Optimization」にすでに「対策」のニュアンスが含まれているのですが、アルファベット3文字ではわかりにくいのでしばしば「SEO対策」とも呼ばれます。
ホームページの価値を左右するのはSEO
SEOで具体的にやることは、「狙ったキーワードで検索上位に持ってくる」です。
そのキーワードは、たとえば運送業者ならば「滋賀県:引っ越し:安い」、ホテルならば「大津市:ホテル:温泉」あるいは「大津市:ホテル:琵琶湖一望」といったぐあいです。
検索順位が10位以内(真っ先に表示される、いわゆる“1ページ目”)ならば、多くの人がクリックするでしょう。
しかし、40位50位、それ以下ならばそこまでスクロールしてくれないかもしれません。100位にも入っていなければ、そのホームページは存在しないのとほとんど変わりません。
「検索順位」はホームページにとってそのくらい重要な意味を持っているのです。
SEOの評価ができるのは半年後
ホームページの命を左右するSEOが、業者にも依頼主にも忘れられがちなのにはいくつも理由があります。
簡単にいってしまうと「ものすごい手間がかかる」「効果があったかどうかの計測が大半の依頼主にはできない。業者でもわからない可能性が高い」です。
手間も時間もかかるSEOの施策
本気でSEOをやるには、制作への着手前にこれだけの準備が必要です。
- キーワード調査(どの言葉で検索されるか)
- 競合分析(ライバル企業のホームページをチェックし、勝つための作戦を錬る)
そして作りながらも、作った後も以下への目配りも欠かせません。
- 記事構成の設計(見出しと内容の組み立て)
- 内部リンクの最適化
いったん完成し、公開しても終わりではありません。むしろここが始まりです。
- 定期的な順位測定と改善
最後の「定期的な順位測定と改善」は「 PDCA サイクル」と言い換えてもよいでしょう。「Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action(改善)」です。
そして、SEOの効果がわかる、いいかえると「検索順位が安定し、評価もできるようになる」のは短く見ても3カ月、普通は半年やそこらはかかります。
いくら優秀な制作業者でも、「2カ月か3カ月の制作期間の後は一切触っていない。それで、 公開後3カ月〜半年あとにはSEOもうまく機能している」などありえません。少なくとも私はそうです。
「完成したら、さようなら」ではSEOもなし
ところが、依頼主が求めるのは、「手間要らずのおまかせ」「格安・激安」「短納期」といったホームページ制作ばかりです。「3カ月や半年を単位としたPDCA サイクル」など視野に入っていません。
「アニメーションがぐるぐる動き、見た目に派手なホームページ」を業者から納品された時点で評価も終えてしまいます。「これで終わった」と一安心もするかもしれません。ここが大きな間違いです。
何カ月か後に、「検索しても自社のサイトが出てこない」と気がついても手遅れです。制作業者との契約は終わっています。いや、気がつくだけマシかもしれません。多くは訪問者がまったくいないホームページを平気で維持しています。
ホームページ用の記事には“納品規格”が決まっている

すでに解説したように、SEOは大きく分けて「技術的SEO」「コンテンツSEO」「オフページSEO」3つの分野に分かれます。これら3つが機能して、初めて検索上位が狙えます。
記事(文章・写真)での工夫は「コンテンツSEO」の主要部分です。ところが、「ホームページ用の文章はお客様ご自身がご用意ください」となると、この「コンテンツSEO」から制作業者は逃れることができ、すべてが依頼主にかかってしまいます。まったくの素人の依頼主に対応できるはずはありません。
読ませる相手は人間だけではない
検索で最大のシェアを持っているのはGoogleで、順位の決定には一定のルールに基づいた自動判定のプログラム(アルゴリズム)を使っています。
全世界のサイトを読みに行き、ページをチェックします。あちこち巡っているところから、名前は「クローラー(Crawler、巡回者)」です。あるいは、イメージとしてはロボットに近いので、「Google ボット(Googleのロボット)」の名でも知られています。
この Google ボットに評価されないと、記事は検索上位にはきません。つまり、機械(プログラム)に気に入られる文章・記事を書く必要があります。
「記事の規格」に合っていないと、低評価か受取拒否
その「チェック」の仕方ですが、人間が読む場合と違います。
人間は文章を読んで「内容」を理解するのに対し、Google ボットは「構造」を解析して内容を判断します。この「構造」に従った文章を書く必要があります。そういう呼び方はされていませんが、事実上の「文章・原稿の規格」です。
規格に従っていないと、まったく評価されなかったり、事実上の「受け取り拒否」に遭うのは、ほかの納品物と違いはありません。
Google ボットにとっての「文章・記事の規格」
- タイトル(h1タグ)
- 大見出し(h2タグ)
- 中見出し(h3タグ)
- 小見出し(h4タグ)
- 段落の構成
- キーワードの配置
これらの構造が整っていれば、Google ボットは「この記事は〇〇について書かれている」と正しく判断できます
ここでいう「タグ」とは、文章の役割を機械に伝えるための目印です。ホームページの文章は、ネット用の言語(HTML)に書き換えられています。その際、「ここは見出しです」「ここは本文です」という情報をタグで付け加える必要があります。
たとえば、ネット上にアップされたホームページで、見た目では文字が大きく太字になっていても、タグが付いていなければ、Google ボットには「ただの文字」です。「これは見出しだ」とは判断できないのです。人間の目には見えませんが、Google ボットはこのタグを読んで、文章の構造を理解します。
にもかかわらず、タグをつけずに「太字にする」「サイズを大きくする」でタイトル風・見出し風にしているだけのホームページが少なくありません。当然、Google ボットには理解できず、「雑然とした文章」としか見えません。
見出しには正しい階層がある
また、h1タグ・h2タグなどには、並べ方にも“作法”があります。
その作法のひとつは「階層」です。「h1(タイトル)の下にはh2(大見出し)、h2の下にh3(中見出し)がある」としなければいけません。
タイトル(h1)
├─ 大見出し(h2)
│ ├─ 中見出し(h3)
│ │ ├─ 小見出し(h4)
│ │ └─ 小見出し(h4)
│ └─ 中見出し(h3)
└─ 大見出し(h2)
├─ 中見出し(h3)
└─ 中見出し(h3)
これを乱しても、Google ボットは正しく内容を理解できません。
「実際にはこちらのほうが多数派では?」と思えるぐらいよく見かけますが、以下のようではダメです。
タイトル(h1)
├─ 大見出し(h2)
│ └─ 小見出し(h4)
│ └─ 中見出し(h3)
└─ 中見出し(h3)
└─ 大見出し(h2)
タイトル(h1)
├─ 大見出し(h2)
└─ 小見出し(h4)
見出しでのほかの失敗
ほかにも見出しの“作法”があります。よく見かける作法違反は次のとおりです。
- 見出しが長すぎる:見出しが30文字、40文字と長すぎると、ボットには何が重要なのかわらない。h2は20文字前後、h3は15〜20文字を目安とする。
- 内容が見出しと合っていない:「見出しでは『料金を安くする方法』と書いているのに、本文では『料金の仕組み』の話で終始している」が典型。人間ならば気にせずに読んでしまう場合もあるかもしれない。しかし、ボットには理解不能だ。
- 見出しが意味を持っていない:「はじめに」「その1」「まとめ」などなど、こうした見出しは、Google ボットには何も伝わらない。見出しには、その段落の内容を象徴するキーワードを入れる必要がある。
構造無視のホームページは当たり前にある
おそまつな例をひとつ挙げると、株式会社メルチュが広島市から請け負った旅行サイト『広島tabi物語』では、どのページにも一切、h1、h2などの見出しのタグがありませんでした。こうなると、サイトともホームページとも、オウンドメディアともいえず、「ネット上に文字と写真を並べただけの代物」というしかありません。
さすがにこれは極端なものの、「作った人は構造にもSEOにもまったく無知だった」と思えるホームページは当たり前にあります。「ホームページ制作業者が公開している、自社のホームページ」も例外ではありません。「あなたが依頼先の候補にしているホームページ業者の中にも、『SEOにまったく無知』(あるいは、『SEOをまったく無視』)のがいるだろう」ということです。
SEOを踏まえた文章は人間にも読みやすい
ここまで読んで、「ホームページ用のちゃんとした文章って、人間相手には書かれていない。ひたすら、Google ボットという“機械”を相手にしている」と思った方もいるかもしれません。
5年10年前ならば、確かにそういう面はありました。「キーワードはページの文章全体の単語数から見て、○パーセントにしたほうがよい」「前文には必ずキーワードを入れろ。冒頭から○文字以内がよい」など、Google ボット受けするために必要な“作法”でがんじがらめになっていました。「人間には読みにくいだろうな。理解しにくいだろうな」と思えても、通常はGoogle ボット優先です。
しかし、Google ボットも急激に進化しています。そういった表面上だけではなく、「なにが書かれているか」「伝わりやすい表現か」までチェックできるようになったとされています。
今では、「ウェブサイト限定ならば、Googleの意向に沿った書き方が人間にとっても理解しやすい」といってもよいでしょう。
また、間接的にではありますが、「人間がその記事にどのように反応したか」のデータも取られています……
- 読了率:訪問者がその記事を最後まで読んだ率。もちろん、高いほうがよい
- 滞在時間:訪問者がそのサイトにとどまった時間。長いほうがよい
- 直帰率:サイト内の次の記事には行かず、そこだけで離れた率。低いほうがよい
……などがその代表です。これらのデータもまた、検索順位を決める要素になっています。
(ここまでで、「ホームページ用の文章には“納品規格”があり、基準から外れると検索上位の評価を得られない」などを解説しました。『ホームページ用の文章は依頼主に書けるか?【後編】〜ライター選びには労力を惜しまない』では、「その規格に沿った文章をだれにかまかせるのか。ライターや制作会社を当てにしてよいのか」を考えてみます)
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