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ホームページ制作の見積書【後編】〜値段の高いのも安いのも中身は変わらない?

ホームページ制作の見積書【後編】〜値段の高いのも安いのも中身は変わらない?

中編では、ホームページ制作業者が出す見積書(請求書)のチェックポイントを解説しました。

  • 「ディレクション料」を取らないところもあるが、その分は「デザイン料」「コーディング料」の中間マージンが高くなっている
  • 「SEO・運用料」のように実際には機能していなくても、料金を取られる項目もある
  • 最小限クラス(トップページ+下層5ページ)で見積もりが50万円ならば制作業者の取り分は25万円ほど、100万円ならば50万円ほどである

この後編では「制作業者はどのように値段を決めているか」「その値段は正当か。支払う価値はあるか」を考えてみます。

値段の高いホームページと安いホームページはなにが違うか

ここで気になるのが、「格安のホームページと値段の高いホームページはなにが違うのか」「自分のところのような中小企業ならばどのくらいの値段のホームページがふさわしいのか」ではないでしょうか。

ホームページ制作の値段の決まり方

ホームページの値段について、私(ペンタ工房)も同意できるX(旧・Twitter)の投稿を ふたつ見かけました。

  • お客さん候補(依頼主候補)に同じホームページを見せて「これ、いくらで作ったと思いますか」と尋ねると、「5万円」という人もいれば、「50万円」という人、「500万円」という人もいる。
  • 実は「50万円のホームページも500万円のホームページも中身は変わらない。『相手がいくら出せそうか』で値段は変わる」

つまり、「大半のお客さんにすると、ホームページの適正な価格はまったくわからない。実際に依頼するときには、”どんぶり勘定”になってしまいがちだ」という話です。

まったくボッタクリ価格のホームページ制作もある

どんぶり勘定でホームページを依頼するのですから、当然、ボッタクリの被害に遭う依頼主も出てきます。

「3,000万円もかかったのに、まったく効果がない。依頼主と制作会社でもめている」といった話も聞こえてきます。また、私がライター兼カメラマンとして関わったホームページでも似たような経験があります。

ここまで書いて、Xをチェックしていると今日も……

ある医療機関の例では、口コミで予約が入るため集客には困っていなかったものの、ホームページ制作会社にSEO対策として毎月100万円を支払っていました。しかし、記事やページの追加制作は行われておらず、成果も出ていません。さらに、150万円以上かけて制作されたホームページは、実は数万円で購入できる既製テーマを使ったものだったのです。(※表現は変えています)

……と流れてきました。ボッタクリは当たり前にあるのです。

普通は守秘義務が課せられています。詳細を公開するわけにはいきません。

とはいえ、事例は少ないながら、発注主・制作業者の名前、請け負った金額までマスコミなどに公開された案件もあります。たとえば、広島市が株式会社メルチュ(兵庫県西宮市)に発注した観光サイト『広島tabi物語』がまったくのボッタクリでした。

広島市はこの「子どもが夏休みの間に、見よう見みまねで作った」レベルのホームページに……

……を支払っていました。

ホームページ制作の値段が上がる条件

もう一度確認しておくと、中編で私が挙げた見積書はあくまで「トップページ+下層ページ×5」程度の最小限のホームページを想定しています。それで制作費が「50万円」、あるいは「100万円」なのです。実際にはこれらよりも高くなることが少なくありません。

ページ数が多い

これらよりもページ数が多いのならば、コンテンツの費用(文章+写真)は別に見ておきましょう。「記事の代金」と言い換えてもいいでしょう。

ホームページにブログ部分を設け、ライター(&カメラマン)に記事を作ってもらうならば、当然、このお金がかかります。

いくつかのやり方や料金が考えられます。以下、3,000字程度の記事の場合の4パターンを挙げておきましょう。

【こたつ原稿+写真ストックサービス】

「こたつ原稿」とは「取材はせずに、(こたつにでもあたりながら)パソコンで調べてわかる程度のことで書いた原稿」です。

また、「写真ストックサービス」は「撮り置いてある写真を提供する会社。あるいは、その業務」をいいます。料金は「月極」「一枚ごと」「基本は月極だが、一部は無料」などさまざまです。

最も安く済みます。5,000円ぐらいでも引き受けるライターはいるでしょう。そのライターに「写真はストックサービスで無料のものから選んでください」とまかせてしまえば、写真代も無料です。

現場をよく知らないまま書くのですから、原稿の内容は「あなたの会社やお店ならではの話」にはなりにくく、同業他社でも使えるようなものになりがちです。写真も多くは「イメージ」にしかなりません。「若い女性がニコっと笑っている」がこの「イメージ写真」の典型です。

【取材記事、写真はライターが兼務】

ライターが仕事を得るために「写真も撮れます」と答えるが、実際は写真の専門知識がない素人であることを示すイラスト。「撮れるってことにしておかないと仕事がこない」という吹き出しと、カメラを持っていても写真の撮り方の本すら読んでいないというテキストが重なっている。
「写真は取材の際に、ライターが“ついでに”自分で撮ります。カメラも持っています」にホッとする依頼主もいるかもしれない。だが、ほとんどの場合、写真の質には期待しないほうがよい。

「ちゃんと現場にライターは来る。写真はライターがついでに撮る」といったパターンです。

これも、いくらでも安く引き受けるライターはいるでしょう。しかし、「2.5万円+交通実費」ぐらいは出したいところです。

Webの取材記事では最も多いパターンです。同時に、ハズレを引く可能性も小さくはありません。

というのは、AIの普及で「こたつ原稿」の需要が減りました。そのせいで、パソコンでの調べもので書いていたのに、急に「取材ライター」を名乗るライターが増えました。

中には本当に取材のノウハウを身に着けた人もいます。一方で、「目の前に取材する相手がいる。しかし、ろくに話を聞けず、書く内容は『こたつ原稿』時代と同じ」も少なくありません。

また、記事がまともに書けるライターであっても、ほとんどの場合、写真は期待できません。「写真も撮れたら、受けられる仕事が増える」と慌ててカメラを買ったような人ばかりです。撮影のスキルを磨くのは後回しになっています。

【プロのライターによる取材記事+プロのカメラマンによる写真】

当然、最も安心できます。ただ、料金が問題です。

私が相場と思っているのは、「ライター2.5万円〜、カメラマン2.5万円〜」です。「取材記事で、写真撮影はライターが兼務」の倍はかかります。

また、「いかにもベテランっぽい」とだまされて、素人のライターや素人のカメラマンを選んでしまう場合もあります。私がライター兼カメラマンとして関わった案件でも、大手企業の広報課が失敗していました。

依頼主にも「それだけのお金を出す価値がある原稿や写真か」の目利きができないと、お金をドブに捨てることになります。

【原稿代行業者】

ビジネスシーンのイラスト。中央のスーツを着た男性(依頼主)が、左側のライターらしき女性(ノートとペンを持つ)とカメラマンらしき男性2人(一眼レフカメラを持つ)のチームに身振り手振りで話しかけている。原稿代行業者がフリーランスを抱え、中間マージンを取るだけの「ピンはね」構造を示している。
依頼主に代わって、原稿や写真を納めてくれる原稿代行業者は、料金の高さにさえ手をつぶればありありがたい存在に思えるかもしれない。しかし、「抱えているライターらはやはりフリーランスで、プロとはいえないレベル」「業者自身も素人で、原稿・写真のチェックができない」が珍しくない。となると、「単に中間マージンを取るだけ」で終わってしまう。早い話が“ピンはね”だ。

以上の3パターンは、自分でライターやカメラマンを探す場合の注意点です。

「ライターやカメラマンを代わりに手配してくれる。依頼主は原稿や写真が来るのを待っているだけ」というサービスをやる会社もあります。「原稿代行業」や「編集プロダクション」を名乗っています。

ライターやカメラマンの手配は多くは「こたつ原稿+写真ストックサービス」「取材記事、写真はライターが兼務」です。しかし、「プロのライターによる取材記事+プロのカメラマンによる写真」までカバーする場合もあります。

ただ、問題が2点あります。

  • 料金は自分でライターやカメラマンを手配した場合の2倍程度はかかる
  • 原稿や写真もチェックを入れてあることになっている。しかし、代行業者自身は原稿も写真も素人レベルの場合が少なくない

結局、これも「それだけのお金を出す価値がある原稿や写真か」の目利きができないと、お金をドブに捨てることに変わりありません。

担当者が多い場合

大手の制作会社(大手のように見せている制作会社)にありがちですが、担当を細分化し、担当者が多い場合も制作費は上がりがちです。

たとえば、Webデザイナー・コーダーのほかにディレクターだけではなく「プロデューサー」までいる場合があります。この場合、「ディレクターはWebライターやコーダーの管理・監督。工程の進行の把握」「プロデューサーは依頼主など外部との折衝。Webライターなどフリーランスへの支払いなどのお金の管理」といったように役割を分けます。

「CMS構築 (WordPress導入・カスタマイズ)」にしても、今は「HTML/CSSコーディング(静的ページの実装)」の役割をする人が兼ねることが増えています。しかし、これも分ける場合があります。

「それぞれ専門性の高い人が担当するので、ホームページの完成度も高くなる」と期待したくなるところでしょう。

しかし、現実には「あまりわかっていない人が増えるだけ」の場合が少なくありません。多くの制作会社には、値段の安さは最大のセールスポイントです。ベテランを惜しみなく使っていては、コストが上がってしまいます。

もうひとつ大きな問題があります。「作業の内容が増える」です。「プロデューサーとディレクター」「コーダーとCMS構築担当者」といった具合に考えの食い違いを調整し、連絡を密にする必要があります。

「担当者を細分化したために、作業が1.5倍にも2倍にもなった」があってもおかしくはありません。納期までの期間も伸びる上、人件費を中心にコストも余計にかかります。当然、ホームページ制作の価格にも反映します。

そのほか

ほかにも値段が上がる条件があります。

「カスタム機能が多い」はそのひとつです。「予約システム」「会員登録・ログイン機能」「決済機能」などは通常はオプション扱いです。

既存のシステムを導入するだけならば比較的安く済むかもしれません。しかし、オリジナルで開発すると数十万円から数百万円かかる場合もあります。

「納期が短い」も料金が上がる要因です。通常2カ月かかる案件を1カ月で仕上げるとなれば、制作者はほかの仕事を断るか、夜間・休日返上で作業する必要があります。その分、割増料金を請求されるのは当然でしょう。

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