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「文章や写真はお客様で用意」といわれたら【前編】〜ライターってどんな人?

「文章や写真はお客様で用意」といわれたら【前編】〜ライターってどんな人?

ホームページ制作では、専門業者に依頼しても「文章と写真はお客様がご自身でご用意ください」と言われるのが普通です。業者は”ホームページという入れ物”は作りますが、中身の文章や写真の確保にはノータッチなのです。

となると、選択肢はつぎのあたりです。「自分やスタッフが書く・撮る」「クラウドソーシングなどを使って、自分でライターなどを探す」「原稿の手配を専門にする業者(原稿代行業者)にほぼ丸投げする」「あきらめる」です。

後編では「ライター確保の難しさ」について解説します)

大企業のホームページだって、下手な文章が珍しくない

文章や写真の確保に苦労するのは、なにも中小企業や地元向け商店だけの話ではありません。大企業・有名企業も散々失敗しています

大手私鉄が5万円も支払った素人原稿

まずは以下の文に目を通してください。

〇〇部長は語りました。

「私たち○○グループの企業理念は、地域社会の発展に貢献し、持続可能な事業運営を行うことです。顧客のライフスタイルは変化し続け、要望も日々変わっています。今後は、本当の問題点は何か、顧客が望んでいることは何か、を私たちが調査し、それに対応する技術やサービスを提供する企業と連携して進めるパートナーシップがより重要になると思っています。機動力と適応力を備えた新興企業と協力することで、従来の私たちだけでは実現できなかった価値を生み出していきます」

文章としてのレベルは元のままで、表現などを変えています。ある大手私鉄の本社広報部から、「ホームページの反応がまったくない」と相談を受けました。私の方から「たとえば、このページを見てください。だれも読まなくて当然ですよ」と取り上げた記事の一部です。

だめなところはたくさんあります。1点だけ挙げると「なにも語っていない」です。鉄道会社ではなくて、電力会社でも、百貨店でも、銀行でもそのまま使えます。というか、「どこの会社が使おうと、まったく同じく内容はゼロ」です。

全部がまるで”お経”のような調子の約2,000文字で、ライターへの報酬は5万円だったそうです。

ライターは数いるが、まともなライターは見つからない

「ライターがいない、まともなライターが見つからない」といった声はよく聞きます。しかし、こういった話は「だれが言っているか」が大事です。

「スキルはどうでもよくて、ただ安く使いたい人」や「自身は文章の良し悪しが全くわからない人」も交じっているからです。

私の周りを見る限り、「まともな金額を支払う気がある」「文章の良し悪しもわかる」という依頼主ほど嘆いている気がします。

実は、広報部員が私に相談してきた大手私鉄の拠点は関西ではありません。はるばる遠くから探し求めて、私のところに連絡してきたのでした。

「向こうの市は、大津市の7倍近くの人口のある都会だ。それでも地元では、私レベルのライターがみつからなかったのだろう」とうぬぼれたくなるところです。

ライターとはどういった人たちか

ここで一度整理しておかなければいけないのは、「どういう人たちを『ライター』と呼ぶのか」と「ライターにも種類があるのか」です。

Webライター・SEOライター

「SEOライター」は「検索上位に来る工夫(SEO)をした原稿を書く人」ぐらいの意味です。書いている内容に詳しいとは限りません。ひたすらググってネット上の情報を集め、それを元に書きます。

こたつ原稿を量産しがちなSEOライター

こたつでノートパソコンを使う男性のイラスト。「こたつ原稿」がネット情報のみで執筆され、室内で快適に書けることから名付けられた原稿であることを説明する図表
こたつ原稿では、その会社やお店の特徴は書ききれない。にもかかわらず、多用するホームページは少なくない。

信頼できる情報を引っ張ってきて、詳しく・わかりやすくまとめるのならば、価値のある仕事でしょう。そういった腕のあるSEOライターもいます。

しかし、多いのは「すでに書かれていて、検索上位にある記事数本をリミックスして一本の記事にまとめる」SEOライターです。当然、似たりよったりの記事が世に送られることになります。

ここ数年、「欲しい情報のある記事がない」とGoogle検索を見放し、Instagramなどの検索を頼る人増えました。「この元凶はSEOライター」と断言してよいでしょう。

また、SEOライターが書くものはよく「こたつ原稿」と呼ばれます。「ひたすらググってネット上の情報を集め」は「こたつに当たりながらでもできる」ので、そう名前が付きました。

募集する側と応募する側のなれ合い

Webライターは「ネット用の原稿を書く人」程度の意味です。今どきあるライターの仕事は大半がネット用です。これではほとんど意味を持たないので、SEOの知識はなくても「SEOライター」と名乗る人も少なくありません。

また……

募集する側も自身はSEOをまったくわかっていないのに、少しはよいライターが集まるだろうと、「Webライター募集」ではなく「SEOライター募集」とする。

これに対し、SEOの知見はまったくないWebライターが手を挙げる

……は、クラウドソーシングでは当たり前に見られる光景です。

取材ライター

「取材ライター」は当然、「取材して、そこから得た材料で記事を書く人」です。もちろん、昔からいます。

ただ、かつては単に「ライター」でもよかったのに、Webライター・SEOライターが登場しました。区別したければ「取材ライター」と名乗るしかありません。

急増したにわか取材ライター

実は、その分だけではなく、この2、3年、急激に「取材ライター」が増えました。背後にはAIの発達・普及があります。「こたつ原稿」ならばかなりのところまでAIが書いてしまうのです。

そのため必要とされなくなったWebライター・SEOライターが「取材ライター」の世界になだれ込みました。

「取材して、そこから得た材料で記事を書く」スキルは新たに身につけなくてはいけません。

「取材ライター」を名乗っても中身は「SEOライター」

もちろん、まともな取材ライターにまでステップアップする人もいます。一方で、多くが「現場に行っても、相手から話が聞き出せない」「自分の目で見たことを表現する能力がない」ままです。

実際に私が知っている例では、「観光ホテルの取材記事なのに、経営者やスタッフから話を聞いた様子がない。周辺観光スポットなどほかの話も、現場に行かなくてもググればわかることだけで書いている」がありました。

ここで、思い出してください。大手鉄道会社の広報部員を嘆かせた「私たち○○グループの企業理念は、地域社会の発展に貢献し……」は、この「中身は昔のままのWebライター」が書いた取材記事(?)の典型です。

そのほかのライター

専門分野を持つ医療、旅行、金融のライターたち。ホームページ制作において、多様な専門家を個別に手配する難しさを視覚的に表現しています。
職歴や専門性を前面に出したライターもいる。しかし、ライターとしての能力は別のものなので、個人個人をよく見極める必要がある。

私自身の個人的でアバウトな感触ですが、「SEOライター」や「取材ライター」ではなく、単に「ライター」と名乗っている人のほうが、SEOも取材もできる気がします。

彼らにすると、「依頼主が『SEO重視で』というのならば、そういった書き方をしますよ」「ライターって名乗っているのに、取材ができないとおかしいだろ」といったところです。早い話が、「ライター」の中から探すほうがベテランに当たる確率が高いのです。

ほかには、「医療ライター」「旅行ライター」「金融ライター」など専門性を前面に出した名前を使う人もいます。

中身はさまざまです。看護師・旅行会社社員・銀行員などの職歴がある人もいれば、「職歴は極めて短いか、あるいは、まったくない。その業界に特に興味があるわけでもない。ただの営業戦略」もあります。

「文章を書くノウハウがなければ、職歴や興味は生きない。むしろ、それらに引きずられて、独りよがりな内容を書く可能性もある」と覚えておきましょう。「肩書だけを信じずに、ちゃんと個人個人の能力をチェックしましょう」といういことです。

AI原稿はどこまで使える?

「今の時代ならば、AIで書いた原稿を当てておけばよいのでは?」と考える人はいます。

しかし、AIの書き方は「ネット上の情報を集めて、それを組み合わせる」です。つまり、「こたつ原稿」の書き手が生身の人間から”機械”に変わるだけです。

「ホームページなんぞ、さらっと形だけあればよい。名刺にURLを入れられればよい」ならば有力な選択肢でしょう。

もし、「ホームページを持つことで、多くの人に自分たちのことを知ってほしい。自分たちに興味を持ってほしい」というのならば、AI原稿はまったく役に立ちません。

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