「文章と写真はお客様で用意を」とするしかない、ホームページ制作業者側の事情
「ホームページの制作を依頼しようと思ったら、『文章と写真はお客様ご自身がご用意ください』と言われてびっくりした」
たまに、そういった方がいます。「自分のような一般の人間が書いたり撮ったりできるわけないじゃないか。なんのための専門業者なんだ!」といった気分にもなるでしょう。
しかし、これが普通です。実は、制作業者の大半はWebデザインやコーディングが専門で、文章や写真は守備範囲外なのです。
目次
制作業者の大半はWebデザイナーかコーダー出身

ふたつ確認しておきましょう。「ホームページが公開される・運用されるのに、どれだけの人が関わるのか」と「どういった人たちが制作業者になるのか」です。
本来は専門職が5種5人以上必要
ホームページが完成し、実際に成果を出すまでには、実は多くの専門的スキルを持った人が関わります。
制作関連
- 企画・ディレクション(ディレクター) : お客様からの聞き取り、目的設定、ライバル調査、ホームページ全体の設計図作り
- デザイン(Webデザイナー) :レイアウト設計、色使い、使いやすさを考えたデザイン、図表やイラストの手配
- プログラム・技術面 (コーダー、プログラマー) : 実際にホームページとして動くようにする技術作業(コーディングなど)、システム構築
コンテンツ関連
- 文章執筆(ライター) : 取材、記事執筆、キャッチコピー作成、検索上位に来る文章面の工夫
- 写真撮影(カメラマン):商品撮影、人物撮影。会社の雰囲気を伝える写真
あくまで一例です。たとえば、「企画・ディレクション(ディレクター)」にしても2人に分けたり、さらに「プロデューサー」を置いたりする場合もあります。コンテンツ関連でも、「『編集者』を加え、文章・写真の作業のチェックをし、ライター・カメラマンのマネジメントをする」が望ましいところです。
逆に、予算が限られているために一人が何役も兼ねる場合もあります。中小企業用のホームページでは、こちらのほうが普通かもしれません。
制作業者本人の守備範囲は狭い
制作会社を興す人の大半は、Webデザイナーかコーダーからキャリアを始めています。制作会社でスタッフとして働いてノウハウを身につけてから独立する人もいれば、フリーランスで成功して会社組織にステップアップする人もいます。
いずれにしても、デザインやコーディングが専門です。
「なんちゃってライター」や「なんちゃってカメラマン」ならば短期間でもなれるでしょう。しかし、プロといえるほどの文章執筆スキル・写真撮影スキルを身につけようとするならば、それだけで3年やそこらはかかります。ライターやカメラマンは職人の世界なのです。
実際のところ、そこまでのスキルを身につけなくても会社として成り立っているわけです。彼らにすると、わざわざ苦労してまで専門外の分野を極める必要はありません。
制作業者の大半は中小企業・零細企業
「ならば、社内にライターやカメラマンを置けばよいではないか。また、自分はそういった制作会社を探そう」と思うかもしれません。しかし、制作業者のほとんどは中小企業・零細業者です。社内にプロレベルのライターやカメラマンをおいている例は、少なくとも私は知りません。
実際の作業者はフリーランスも多い
中には大手に見えるところもあるかもしれません。そういった場合でも、「本業は別にあり、そこの規模が大きいだけ。ホームページ制作部門は全体のごく一部」が大半です。
零細であれ一見は大手であれ、たいていはスタッフは数人〜十数人です。「一人社長」も珍しくありません。ライターやカメラマンなど置く余裕はありません。それどころか、多くのところでWebデザインやコーディングも実際の作業は外部のフリーランスに業務委託しています。
文章や写真となると、Webデザイナー出身・コーダー出身の社長にしたら自分のよく知らない世界です。フリーランスのライターやカメラマンを確保するのはWebデザイナーなどの確保よりも大変なのです。
「文章や写真はお客様でご用意ください」で承知してくれるのならば、制作業者にはまったくありがたい話です。
内容のなさは「ぐるぐるホームページ」で目くらまし
それが通用するのは、お客(依頼主)の甘さもあります。「丸投げでOKだった」と信じて、自分のところのホームページに使われている文章や写真をろくにチェックしません。
「文章・写真に素人ならば、制作業者はなにをするのか?」が気になるところでしょう。
本当ならば、技術的・コンテンツ・オフページと3種類あるSEOのうちの技術的SEOに集中してほしいところです。しかし、それさえ、やっていません。『ホームページ制作業者の掲げる「SEO対策にも強い」にご注意』で紹介したとおりです。
ようやく答えをいえば、「見た目の派手さ・おもしろさに全力をそそぐ」です。画面が開く前にアニメーションが展開する(ローディング画面)……開いたら今度は、左から写真が、右から文章が寄ってきて、真ん中で合体する……
こういった「ぐるぐるホームページ」を見て、お客様は「さすが、お金をかけて作ってもらっただけのことはある。プロの仕事だ」と納得してしまいます。肝心の文章も写真も素人丸出しで、自分たちのことを紹介する情報が薄くても気づきません。
「これらの演出は依頼主に対する目くらましでしかない。依頼主はそれにだまされる」というしかありません。
下手な文章・写真でもホームページは作れてしまう?
素人文章・素人写真しかなくても、多くの依頼主がOKしてしまうホームページ(?)ができるのも事実です。こういったレベルのホームページはどういった内容なのでしょうか。
「文章・写真はご相談ください」の中身
中には「文章・写真がご自身で用意できない場合は、ご相談ください」としている制作業者もあります。しかし、まともな解決にはつながりません。
実は、ほんのわずかの案件数ですが「テンプレ利用の格安ホームページサービス」のディレクターをやったので、私自身の経験としてお話しします。「テンプレ利用」とは、「”型”を用意してあり、それに当てはめるだけ。労力最小の制作方法」です。
「相談」して出てくる話はクラウドソーシング
クライアント(発注者)
- 要件提示・募集
- 契約・進行管理
- 検収・支払い・評価
フリーランス(受注者)
- 提案・見積・受注
- 制作・納品・修正対応
- 請求・実績化
基本フロー: 発注 → 受注/制作 → 納品 → 検収 → 支払い
「ご相談」してもプロのライターやプロのカメラマンが社内から湧いてくるわけではありません。文章の書き方をレッスンしてくれるわけでもありません。クラウドソーシングの使い方などを教えるだけです。
クラウドソーシングとは「『ランサーズ』や『ココナラ』など、主にフリーランスのライターなどが登録していて、彼らに対し募集・採用できるネット上のサービス」です。
つまり、「ライターやカメラマンなどを仲介してくれる」ですらありません「仲介をしているサービスがあることを教える。ライターやカメラマンの確保はそちらに任せてしまう」だけです。
見栄えの代償に情報を薄くするイメージ写真
加えて、写真の場合には制作業者にとって奥の手(?)があります。「写真ストックサービス」です。撮り置いてある写真を提供する会社がたくさんあるのです。一枚ごとや月ごとに料金がかかるところもあれば、一部を無料にしているところ、全く無料のところもあります。
撮り置いてある写真の中から、イメージの合う写真を選ぶびます。たとえば、レストランならばコックさんの写真、通販会社ならばヘッドセットをつけた人の写真といった具合です。
「ほとんど意味なく女性がニコっと笑っている」も珍しくありません。「建築会社のホームページでも、病院やタクシー会社のホームページでも同じ写真が登場する」がたまにあるのは、人気のストック写真が限られているためです。
写真は重要な情報伝達手段です。あなたの会社やお店を撮った写真も例外ではありません。特に経営者やスタッフの表情をうまく撮れば強力なアピールになります。それを放棄して、いわゆる「イメージ写真」に逃げるのです。
「プロ用のカメラを用意しています」こそ、素人の証し

自社ホームページに「プロ用のカメラを用意しているので、写真もお任せください」と掲げているところもみかけます。滋賀県大津市のホームページ制作業者でもありました。
それなりの新人教育システムがあった全国紙写真部出身で、今でも身につけなければいけないスキルを発見する私にしたら、ひとこと言いたくなります。「これこそ、写真がわからない証し。まったくの素人の証し」です。
「包丁と鍋があるので、料理もお出しできます」「最高級のノコギリとカナヅチをホームセンターで買ってきました。建物の修理もやります」と変わりません。道具をそろえただけで仕事ができるようになるのならば、この世の中から「プロフェッショナル」「職人」といった言葉はなくなってしまいます。
「文章と写真はお客様で」は「上っ面だけホームページ」宣言
では、まともな文章や写真はどうやって入手するのか……
実は私もおすすめできる策はありません。仮に「私自身がホームページ制作を依頼する側で、文章執筆・写真撮影のスキルもない」だったと想像すると、途方に暮れると思います。
こういった問題に気がついてしまうのは、文章・写真の質がわかるせいです。目をつぶってしまえばやり過ごせるし、実際多くの依頼主がそうしています。
手前みそになってしまいますが、ペンタ工房のやり方は少ないおすすめの方法の一つです。全国紙で記者とカメラマンの両方を経験し、フリーのライター兼カメラマンとしてやってきた工房主が取材し、文章を書き写真も撮ります。「制作から取材・文章執筆・写真撮影まで一括対応」には制約もありますが、小型のホームページ限定ならば問題ありません。
また、文章がSEOの成功不成功に大きな比重を占めているのは『ホームページ制作業者の掲げる「SEO対策にも強い」にご注意』で解説したとおりです。
その文章は依頼主に丸投げで、業者自身はノータッチです。「文章と写真はお客様でご用意ください」となっているだけで、その業者のSEOにはまったく期待できないのがわかるのではないでしょうか。
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