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「インタビュー写真の撮り方」レクチャー(5/26 IN京都)の趣旨

インタビュー写真レクチャー

5月26日に京都で実施する「初心者向け、 インタビュー写真の撮り方」レクチャー開催の目的や、伝授したいスキルをまとめておきます。

今回の参加者はもちろんのこと、今後同種のレクチャーや撮影練習会があった場合、参加の可能性のある方も、ぜひ、お目通しください。

「写真も撮れるWebライター」「Web育ちの自称カメラマン」にありがちなインタビュー写真

まずは、「間延びした構図」と「ポーズのないポーズ写真」を避けるようにします。

これらは、本格的には写真を習う機会のないままのWebライターや自称カメラマンが最もやりがちな失敗です。

パターン1 間延びしている

「日の丸構図」が必ずしもNGなわけではない。しかし、初心者がインタビュー写真を撮った場合のほとんどが、「画面の真ん中しか見ていない。最重要なもの(顔)を知らず知らずのうちに真ん中に持ってきてしまう」。結果、画面の上の3分の1ほどがスカスカになる。

「日の丸構図」と呼ばれる写真があります。被写体の中で最重要の部分を中央に持ってくる撮り方です。

代表的な構図のひとつです。ただし、これが人物写真になると要注意です。

撮り慣れていない人の多くは、ファインダーの中の中央にばかり注意が行きます。そして、無意識のうちに、その中央に最も写したいものを持ってきます。

人物写真の場合、たいていは「最も写したいもの」は顔です。結果、頭から上が画面の半分近くを占めた状態でシャッターを切ります。

「日の丸」の名前が付いているのは、「♪白地に赤く」の「赤く」の部分に顔がそのまま当てはまるからです。

頭上の部分に意味のある背景を意図的に持ってくるのならばOKです。しかし、無意識に顔を“赤く”の部分に持ってきた場合、屋外だったら空、屋内だったら天井あたりがきます。写っている人物には見る人の注意の行かない、散漫な写真になります。

加えて、慣れない人は、「念のために、念のために」と周囲まで含めがちです。写真の中に写っていないものはあとから足せません。そのため、安全策のつもりで、バストアップ(みぞおちあたりから上)が必要なのに、へそや腰あたりまで含めてしまうのです。

これで、写真はいっそう散漫になります。

パターン2 ポーズがまったくないポーズ写真

モデルさんでも撮るのならば、すまし顔なども必要でしょう。一般的なインタビュー写真で撮りたいのは、相手のイキイキした表情や、手が顔の前に来るなど動きのある様子です。

しかし、実際には表情はさえず、体はじっと固まったような写真ばかりです。

これは自分が撮ったり、撮られたりする場面を想像すると、ある程度はもっともだと思うのではないでしょうか。

自分が撮る側の場合、相手に動かれては困ります。「ピントが合わせられない」「シャッターを切っていいタイミングがわからない」と心配で仕方ないのです。

撮られる側に回った場合も、「撮りやすいようにじっとしておいてやろう」となる人が少なくありません。それまでいい表情が次々に出ていた人が、「それでは写真を撮ります」と告げた途端に、体も表情も固まるは何度も経験してきました。

こういった、撮る人と撮られる人の間違った協力で、あのような上半身が硬直した写真になるのです。

「間延びした構図」「こわばった顔」の写真を撮らないための対策

以下、実際にどうするかです。

シャッターを切る前に四隅をチェックする

要らないスペース
背景に見せたいものがある場合は、話は別だ。しかし、インタビュー写真で特に「バストアップ(みぞおちあたりから上)」を撮る場合、最も見せたいのは表情だ。となると、周囲がスカスカの写真は、移されている人の印象を薄くする。

構図の話となると、多くのノウハウ本では、「3分の1構図」「4分の1構図」「対角線構図」などが紹介されています。

しかし、インタビュー写真では無理に当てはめる必要はありません。また、当てはまらなくても、いいインタビュー写真になります。

特に初心者は次の一点ができるようにしましょう。「シャッターを切る前に、一度は四隅をチェックする。その時点で、要らないスペースや邪魔になるものを排除するように、アングルを選び直す」

これで、頭の上がスカスカになる日の丸構図は避けられます。「念のために、念のために」と周囲まで含めることもありません。

特にまだ練習が主になっている時期には、「あとからのトリミングはない。最初からカツカツになるように撮る」を心がけましょう。

動いている人を撮れるようにする

相手にじっとしてほしいのは、動くものを撮るスキルがないからです。これは知識だけではどうにもなりません。

というのは、「シャッターを切ろう」と思ってから、実際にシャッターが切れるまでに、時間がかかります。ひとことでいえば、「タイムラグ」です。

・頭の中で「今だ!」と判断する
・指が動き始める
・シャッターボタンを押し込む
・機械が反応し、実際にシャッターが切れる

これらにかかる時間は慣れた人でも0.2秒から0.25秒とされています。

プロ野球のピッチャーが速球を投げて、指先を離れたボールをキャッチャーが捕るのに0.4秒だそうです。慣れている人でも、その半分なわけです。初心者ならば、ほとんどこれと変わらない時間でしょう。

つまり、0.2秒かそれ以上の時間、インタビュー相手の表情や動きを先読みしないと、肝心なタイミングでは撮れません。

とりあえず「先読み」といいましたが、これは頭で考えるようなことではありません。実際には、「動くものを何度も狙って、そのうちに体がこのタイムラグを覚える。無意識のうちに、早めにシャッターボタンを押そうとする」まで行く必要があります。

「写真も撮れるWebライター」「Web育ちの自称カメラマン」には相当高いハードルでしょう。なにしろ、新聞社などのカメラマンとは違い、毎日撮るわけではないでしょうから。

しかし、これを乗り越えない限り、こわばった表情・こわばった体のインタビュー写真を撮り続けなければいけません。

だから、インタビュー相手の会話が大事になる

もし、自分が撮影に専念していいのならば、他の人が取材している間に撮ればいいでしょう。あるいは、ほかに立ち会っている人がいれば、その人に相手に話しかけてもらいます。

ただ、これらだけでは、相手の表情が生き生きしたり、ポーズらしいポーズになったりすることはなかなかありません。むしろまれです。

さらに、文章執筆も兼ねていたりすると、話しかけるのも自分だけになりがちです。

最初に、「ポーズを撮りたいので、手はできるだけ顔の前にまで持ってきてくださいね」などとお願いしても、たいして効果はありません。「手をほおに当てておいてください」などとやっても、それはそれで動きがなく、不自然さが残るポーズになるのがオチです。

必死になって自分から話しかけ、相手を気分よくさせ、リラックスしてもらうしかありません。自分自身の人間力を最大限発揮する必要があります。

とはいえ、実はポーズ写真にする奥の手があります。私の“企業秘密”ですが、レクチャーに参加された方には、その場で伝授します。

インタビュー場所の光を読む

インタビュー場所についたら、その場の状況をチェックしましょう。慣れていない人のよくある失敗は、「相手が着席している場所はそのまま、自分も適当にその場のイスに座る」です。

写真のことがいくらかでもわかったら「これは、まずい」となりそうな状況でも、初心者は平気です。

窓の位置を確認する

撮影相手が明るい窓を背中にしているのが最悪の条件です。早い話が「逆光」です。

初心者の多くは、露出もオートで撮るのではないでしょうか。逆光はオートが最も苦手にする状況です。たいていは、アンダー目にシャッタースピードと絞りを割り出します。「暗くなってしまう」ということです。

たとえ、露出が正しくでても、被写体(インタビュー相手)のコントラストも付きません。のっぺりとした画像になります。

「光が差し込んでくる窓を背にするのを避ける」は基本中の基本です。

明るさをチェックする

オートに任せっきりではいけません。たとえ、オートを使うにしても、カメラが選んだ「シャッタースピード」と「絞り値(F値)」は確認しましょう。

近年、手ブレ補正機能が普及し、30分1秒、15分の1秒といった低速シャッターでも手ブレの危険性が減りました。もうひとつ、シャッタースピードを決める要素は、「被写体ブレ」です。シャッターが開いているうちに被写体が移動してできたブレを指します。

インタビュー写真のときは、125分の1秒程度は確保したいものです。というのは、「生き生きとしたインタビュー写真」の多くは、「表情がぱっと変わった瞬間」「ジェスチャーが入った時」などをとらえています。相手が動いたときほど、チャッターチャンスなのです。

もうひとつの「絞り値」は被写界深度を決める要素です。ここでは詳しくは解説しません。ただ、「絞り値を大きくすると(レンズを絞って、いっぺんに取り込める光の量を減らすと)、背景までピントがあったようになる。絞り値を小さくすればその逆」とだけ覚えておいてください。

つまり、背景までしっかりと見せたいのならば、それだけ明るさが必要です。

光源の種類をチェックする

明るさが足りていればいいだけではありません。十分な光があっても、その光の質が写真に適さない場合もあります。最もいいのは太陽光です。

カメラは基本的に太陽光に合わせて開発されています。太陽光は強力なだけではなく、様々な波長が含まれています。これはほかの光にない特徴です。そのおかげでどんな色も余すところなく記録され、コントラストもしっかりしています。

取材場所で最も出くわす、問題ありの光源は「電球色のLED」です。波長がオレンジ色に偏っているだけではなく、おそらくはほかの波長もわずかしか含まれていません。あとで、Photoshopなどで補正しようにも、難しいのです。

その場で「ホワイトバランス」を調整する手もあります。ただ、これも「ほかの波長もわずかしか含まれていない」が原因となって、さえた発色にはならない場合も珍しくありません。

ストロボや撮影用LEDが放つ光は太陽光に近い性質を持っています。これらを補助的に使う方法がおすすめです。

ただ、まともな「ストロボの使い方」はすぐには習熟でいないでしょう。時間を掛ける必要があります。

撮影位置はどう選ぶ?

「光が差し込んでくる窓を背にするのは避ける」はすでに申し上げました。ほかにも背景には注意しなければいえないポイントがいくつかあります。

背景はシンプルに

もしかしたら、「そのほうが場所の雰囲気が出る」「背景が単純すぎるのはよくない」とでも思っているのでしょうか。大型の観葉植物のわきや前で撮っているインタビュー写真も見かけます。やめておきましょう。“雑音”にしかなりません。

また、よほどそこに見せたいものがない限り、壁などにベッタリと張り付くのもNGです。相手には少し離れてもらって壁などはボカして撮り、写真を見る人の視線がそちらに行かないようにします。

また、ストロボの使いかたによっては、近すぎる壁には影が濃く出ます。この点からも、背後は少し距離を空けなければいけません。

避けないといけない「首切り写真」「串刺し写真」

串刺し写真・首切り写真
首の後ろを横のラインが走る「首切り写真」(左)と、頭上にまっすぐにラインが降りてくる「串刺し写真」。どちらも、ラインにいったん目が行ってしまうと、視線はその上をたどるばかりになりかねない。

これも「背景はシンプルに」の話につながるのですが、「首切り写真」「串刺し写真」には注意しましょう。

「首切り写真」とは、首の後ろに真横にラインが入る写真です。一方、「串刺し写真」は頭の上にまっすぐにラインが降りてくる写真をいいます。

これらの「ライン」には、窓枠、書棚、柱などがあります。オフィスでの撮影ならば、特に多いのはホワイトボードのヘリです。

これらの写真がNGな理由としては、「どことなく不気味」といったあいまいな説明をよく見かけます。おそらくはそうではありません。写真を見る人の目がいったん、これらのラインをとらえてしまうと、その上を滑るばかりで、肝心の人物の部分には戻ってきません。とても邪魔になる背景の入り方なのです。

インタビュー写真撮るのに必要な機材とその設定

インタビュー写真を撮るのに、必要な機材はいくつかあります。ただ、初心者は持っているとは限りません。現実には、機材は妥協して、その範囲内でできるだけのことをやるしかありません。

中望遠レンズ

特に背景など入れず、人物中心で撮る場合に使う、典型的なレンズは、「単焦点の中望遠」です。「単焦点」でなければいけないのは、F値は小さく、被写界深度を浅くでき、人物だけを浮かび上がらせられるからです。

明るいレンズ(大口径のレンズ)で、フルサイズ換算85mm前後の単焦点レンズは、「ポートレートレンズ」と呼ばれるぐらい、人物撮影に好んで使われます。インタビューにもやはり適しています。

これらの用語がわかりにくい人は、「単焦点レンズならば、背景がしっかりとボカせる」「ちょっとだけ望遠が、インタビューにも使いやすい」と覚えておきましょう。

ただ、初心者の多くが持っているのは標準ズーム1本です。ポートレートレンズのような自在な撮り方はできません。「将来の課題」と考えておきましょう。

標準ズームであれば、望遠側をいっぱいいっぱいに使い、絞りも開放(最も小さい数字)にします。

シャタースピード

シャッタースピードは手ブレと被写体ブレを防ぐためには早めにする必要があります。

とはいえ、最近のカメラ&レンズには手ブレ防止機能が搭載されています。あまり、手ブレは気にする必要はないかもしれません。

それよりも要注意なのは、もう一方の被写体ブレでしょう。生き生きとした表情やポーズを撮るには、相手が動いた瞬間を狙います。とはいえ、スポーツ写真ほど高速シャッターは必要はありません。インタビュー写真ならば「125分の1秒以上」と考えておくといいでしょう。

外付けストロボ・撮影用LED

逆光と順光
左の写真では明るい窓を背後にしたために、完全に逆光になった。全体が暗いが、これを明るくしてもコントラストは回復しない。しかし、ストロボを手前側の斜め方向から当てると、右の写真のようにコントラストなども問題なくなる。

デジカメがフィルムカメラに置き換わり、夢のような高感度までカバーするようになりました。「外付けストロボはもう要らない」と思っている人も少なくないようです。実際、私の周りでも持っていない人も少なくありません。

しかし、明るさは足りていても、「光の波長が写真には適さない」「逆光になるなど光源の位置がよくない。だけど、ほかに撮る位置がない」も当たり前にありえます。

そうったときは、自分で「光源」をセットしないといけません。「取材場所の光のコンディションを自分が支配する」と言い換えてもいいでしょう。このためには、ストロボなどが不可欠です。

とはいえ、やみくもに使ってはいけません。「クリップオン(カメラボディーの上部に直接取り付ける)で、まっすぐ光を当てる」ぐらいならば、使わないほうがいい場合もありえます。

「ストロボを使いこなすには、知識もスキルも要る」と覚えておいてください。

瞳フォーカス

かつては、写真撮影にはいくつもの職人技が必要でした。しかし、カメラに電子部品が入りだした40年ぐらい前から、次々にカメラの設定だけでカバーできるようになりました。

その「カバーできるようになった職人技」の典型がピント合わせです。かつてはピントリングを手で回していました。最新の機種では、大半の被写体で、オートフォーカスに任せるほうがよほど素早く正確にピント合わせをしてくれます。

インタビュー撮影を含む人物撮影では、ピント合わせに特徴があります。定石では、「カメラ(撮影者)に近い方の目」に合わせます。

これも多くのカメラがカバーするようになりました。単にオートフォーカスではなく、「近い方の目」にピタリと合わせるのです。

ただ、現状ではこの「瞳(ひとみ)フォーカス」が搭載されていない機種もあれば、搭載されていても少し相手が動くとずれてしまう機種など様々です。今後、新しくカメラを買うとしたら、「瞳フォーカスの性能」は評価の対象として欠かせないものになるでしょう。

現在、私自身は、「瞳フォーカスでいったん合わせたあと、自分でピントリングを回し、微調整する」にしています。

質の低いインタビュー写真は訪問者からのサイトの評価を下げ、取材相手は不快にさせる

下手な写真・ちゃんと撮れていない写真を見ると、人は不安・不快になります。長い時間見てくれません。そこから訪問者が離れてしまう場合もあります。「写真が離脱ポイントになる」と言い換えていいでしょう。

読んでくれる人がいたとしても、サイト全体への評価も下げているかもしれません。「写真が素人なんだから、文章を書いた人も素人だろう」あたりが、その下げてしまう理由の典型です。

インタビュー写真の場合、訪問者の目だけではなく、撮られた相手の目もあります。「あんなところの取材など応じるんじゃなかった。変な写真を出しやがって」と思われないためにも、インタビュー写真はちゃんと撮れないといけないのです。

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